シーズン総括(下) 問われるクラブ力
- 2015/12/13
- 00:33
見込みの甘さを認めざるをえない。クラブも、監督も、選手も。「J3ならもう少し勝てる」とサポーターも思っていただろう。筆者も同様であり反省している。
長いキャリアの中で勝負の難しさを知る岸野靖之監督が「厳しい試合になるが負けることはないだろう」と見立てて落とした試合もいくつかあった。カターレ自身の力不足があるだろうが、対戦相手にも力があった。
J3には運動量が豊富で守備意識の高いクラブがそろっていた。テクニックで劣っても走力とハードワークで補いながら粘り強く戦う相手に対してカターレは苦しんだ。ある選手は「技術を生かせるようなサッカーをやらせてもらえなかった」と言う。「劣ってはいないが圧倒もできない」(岸野監督)というチーム状態では得点を奪えず、連勝もままならなかった。
■難しかったJ3
J2では常にチャレンジする側だったカターレが、J3に降格すると一転して追われる立場になった。澤入重雄ゼネラルマネジャーは「昇格するには引き分けは負けに等しく、勝たなければならないという状況が試合の進め方を難しくした」と話す。MF大西容平も「勝てなかったのは選手の責任だが、対戦相手がノープレッシャーで向かってくるのは難しかった」と振り返っている。
J2時代はチームと選手の成長を我慢強く待つ姿勢をとったが、J3で昇格を争うならその時間も長くは許されない。岸野監督のチームづくりにも少なからぬ影響を与えただろう。
ホームゲーム1試合平均の入場者数は2,820人(リーグ5位)で、昨季の4,266人から大幅に減少した。今季最多は開幕・秋田戦の4,542人。昇格争いに絡めなかったため中盤戦以降にファンの関心を高めることができなかった。成績不振はクラブの求心力低下につながりかねず、そうなれば興行以外の、競技普及や地域貢献などの取り組みにも影響が及ぶだろう。
今季は初めて経験するさまざまな困難に対応し切れなかった。これを教訓にして来季は巻き返さなければならない。
■優勝劣敗
今季すべてのアウェイゲームを取材し、Jリーグが自由競争の時代に突入したことを実感した。
カターレはJ2を22クラブまで増やす構想を踏まえ、それに滑り込むために発足して2009年にJ2入りを実現した。しかし、22の参加枠が埋まった2012年から降格制度が始まる。当時は高く感じた参入障壁をクリアして手に入れた立場は保証されたものではなくなり、3年後に降格の憂き目にあった。
2014年に創設されたJ3は参入基準が低めに設定され、各地域の期待を担った新進気鋭のクラブがそこで力を蓄えながらJ2を目指すことができる。彼らを倒さなければカターレはJ2に復帰できない。もはやJ3も厳しい実力主義の舞台だ。それを特に思い知らされたのがJ2未経験の長野、山口のホームゲームだった。
長野は今季オープンした球技専用スタジアムの南長野運動公園総合球技場をホームとし、1試合平均入場者数を昨季の3,595人から4,733人へと伸ばした。ピッチとスタンドが一体となって盛り上がる雰囲気はJ2水準をすでに超えている。
山口はJFL、J3をそれぞれ1年で通過して来季はJ2で戦う。1試合平均4,367人が来場しように地元の厚い支持をえて、ピッチ上でもエンターテイメント性の高いサッカーを展開した。
両クラブがここに至るまでに長い年月と苦労があったのは想像に難くない。わたしが知らなかっただけだ。Jリーグを目指すクラブは各地にあり、これからも長野や山口のように次々と台頭してくるに違いない。それぞれの地域で、それぞれのやり方で。経営力を高め地域と絆を結び安定した成績を残せば道は開け、できなければ追い抜かれる。
カターレは来年で創設9年目を迎える。もう一度J2に戻る資格があるかどうか、クラブとしての力が試される。
長いキャリアの中で勝負の難しさを知る岸野靖之監督が「厳しい試合になるが負けることはないだろう」と見立てて落とした試合もいくつかあった。カターレ自身の力不足があるだろうが、対戦相手にも力があった。
J3には運動量が豊富で守備意識の高いクラブがそろっていた。テクニックで劣っても走力とハードワークで補いながら粘り強く戦う相手に対してカターレは苦しんだ。ある選手は「技術を生かせるようなサッカーをやらせてもらえなかった」と言う。「劣ってはいないが圧倒もできない」(岸野監督)というチーム状態では得点を奪えず、連勝もままならなかった。
■難しかったJ3
J2では常にチャレンジする側だったカターレが、J3に降格すると一転して追われる立場になった。澤入重雄ゼネラルマネジャーは「昇格するには引き分けは負けに等しく、勝たなければならないという状況が試合の進め方を難しくした」と話す。MF大西容平も「勝てなかったのは選手の責任だが、対戦相手がノープレッシャーで向かってくるのは難しかった」と振り返っている。
J2時代はチームと選手の成長を我慢強く待つ姿勢をとったが、J3で昇格を争うならその時間も長くは許されない。岸野監督のチームづくりにも少なからぬ影響を与えただろう。
ホームゲーム1試合平均の入場者数は2,820人(リーグ5位)で、昨季の4,266人から大幅に減少した。今季最多は開幕・秋田戦の4,542人。昇格争いに絡めなかったため中盤戦以降にファンの関心を高めることができなかった。成績不振はクラブの求心力低下につながりかねず、そうなれば興行以外の、競技普及や地域貢献などの取り組みにも影響が及ぶだろう。
今季は初めて経験するさまざまな困難に対応し切れなかった。これを教訓にして来季は巻き返さなければならない。
■優勝劣敗
今季すべてのアウェイゲームを取材し、Jリーグが自由競争の時代に突入したことを実感した。
カターレはJ2を22クラブまで増やす構想を踏まえ、それに滑り込むために発足して2009年にJ2入りを実現した。しかし、22の参加枠が埋まった2012年から降格制度が始まる。当時は高く感じた参入障壁をクリアして手に入れた立場は保証されたものではなくなり、3年後に降格の憂き目にあった。
2014年に創設されたJ3は参入基準が低めに設定され、各地域の期待を担った新進気鋭のクラブがそこで力を蓄えながらJ2を目指すことができる。彼らを倒さなければカターレはJ2に復帰できない。もはやJ3も厳しい実力主義の舞台だ。それを特に思い知らされたのがJ2未経験の長野、山口のホームゲームだった。
長野は今季オープンした球技専用スタジアムの南長野運動公園総合球技場をホームとし、1試合平均入場者数を昨季の3,595人から4,733人へと伸ばした。ピッチとスタンドが一体となって盛り上がる雰囲気はJ2水準をすでに超えている。
山口はJFL、J3をそれぞれ1年で通過して来季はJ2で戦う。1試合平均4,367人が来場しように地元の厚い支持をえて、ピッチ上でもエンターテイメント性の高いサッカーを展開した。
両クラブがここに至るまでに長い年月と苦労があったのは想像に難くない。わたしが知らなかっただけだ。Jリーグを目指すクラブは各地にあり、これからも長野や山口のように次々と台頭してくるに違いない。それぞれの地域で、それぞれのやり方で。経営力を高め地域と絆を結び安定した成績を残せば道は開け、できなければ追い抜かれる。
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