【第29節vs秋田プレビュー】打倒王者へ。この一戦に懸ける
- 2020/11/21
- 08:19
無敗の王者・秋田に挑む。彼らにとっては18日に大阪・吹田で3年ぶり2度目の優勝とJ2初昇格を決めてから初めて迎えるホームゲームだ。カターレは凱旋試合の引き立て役に終わるわけにはいかない。
秋田は20勝8分で独走Vを決めた。Jリーグ記録の開幕9連勝で勢いに乗り、その後は引き分けが増えて最大2連勝にとどまっているものの依然として負けなし。昨季から続く30戦無敗(21勝9分)もJリーグ新記録となっている。
昨季まで沼津を指揮した吉田謙監督のもと堅守速攻を徹底して隙がない。現時点での総失点がわずか8という守備の強さが驚異的な成績につながった。複数失点したのは第21節のC大阪U-23戦(3○2)のみ。1試合平均では0.29で、このままいけばこちらもJリーグ記録を大幅に更新することになる(年間最少平均失点記録 J1:0.71=08年大分、J2:0.55=00年札幌、J3:0.50=15年町田)。今季はまだ先制点を許しておらず、対戦相手にリードされたのは一時逆転を許したのは上記のC大阪U-23戦だけ。
球際の強さと豊富な運動量で前からプレッシャーをかけ、攻め込まれると守備網を収束させながらゴール前を固める。優勝が決まった翌日の地元紙・秋田魁新報はその戦いぶりを「組織的守備、愚直に貫く」との見出しで伝えている。
守りだけではない。攻撃面でも総得点49はリーグ1位(同2位・熊本46)。ハイプレスからのショートカウンター、FWの中村亮太や齋藤恵太の強靭なフィジカルを押し出すロングカウンター、MF江口直生の高精度のキックやDF鈴木準弥らのロングスローを生かしたセットプレーでゴールを量産している。MF久富賢らが絡んでスピーディーにサイドに展開してDFとGKの間に強いクロスボールを打ち込む一連の流れもシステマチックだ。シンプルだが力強い自分たちの形を確立し、対戦相手が予期していても防げないレベルまで高めている。ボール支配率やパス本数はリーグ最下位(Football LABより)。手数をかけない攻撃が多いぶん、カウンターアタックを食らうリスクも小さい。
地元で20日に放送されたNHKのニュースの中で、吉田監督は「残り6試合も一戦一戦、一瞬一瞬を大切にしてみんなで戦いたい」と話していた。優勝が決まったからといって彼らに緩みが生じるとは考えにくい。それどころか、より自信に満ちた、思い切りの良いプレーが増えるかもしれない。残り6試合はすべて昇格の可能性を残している上位クラブと対戦する。無敗での優勝がなるのか、どこが初黒星を付けるのか。2位争いにも影響が及ぶ今後の焦点だ。
カターレは昇格への望みをつないで今節の秋田戦を迎えた。18日の八戸戦後にそのまま秋田県内に移動。富山からも数名が合流して準備を進めている。20日の練習では秋田の攻守を想定しながら攻撃の狙いどころやクロスに対する守りを確認した。
前回ホームで対戦した7月15日の第4節は0-1で敗れた。3連戦の真ん中のゲームで、カターレは前節から先発を総入れ替えして臨み、相手のちょうど2倍となる14本のシュートを放った。決定機と呼べるビッグチャンスも何度かつくり、互角以上に戦っている。しかし、もう参考外だろう。安達亮監督は「秋田はシーズンを戦いながらゲーム内容も良くなった。今は無敗が必然と思えるほどに強い。守備のリスク管理が徹底されていて、ピンチを招くような変なボールの奪われ方をしない」と話した。
対戦成績は非常に悪く、1勝4分7敗で8得点20失点。J3降格初年の2015年の開幕戦が唯一の白星だ。吉田監督が率いていた沼津にも1勝1分4敗だったように、泥臭くハードワークしてくる堅守速攻型のチームを苦手にしている。現在の秋田の充実ぶりを考えても、カターレが金星を挙げるには攻撃面、守備面とも乗り越えなければいけないポイントがいくつもある。
しかし、カターレにも強みがある。平松宗をはじめとするアタッカー陣の決定力やセットプレーの得点力はリーグ屈指だ。ゴールをこじ開け、凱旋試合で勝利がほしい秋田に焦りを生じさせる展開に持ち込みたい。MF花井聖は「今季の秋田は素晴らしい戦いをした。自分たちが彼らとどれだけ戦えるのか対戦するのが楽しみ。相手の守りは堅いが、ゴール前で高いクオリティーを出せたなら得点は奪える。ただ、繰り返しチャレンジする必要があり、チャンスの回数を増やせるように積極的に仕掛けていきたい」と話した。
◇秋田の戦いを分析する記事がいくつか公開されています
・Football LABの分析コラム
https://www.football-lab.jp/column/entry/750/
・宇都宮徹壱氏のヤフーニュースへの寄稿
https://news.yahoo.co.jp/byline/utsunomiyatetsuichi/20201120-00208734/
◇J3上位の今節以降の対戦(赤字は直接対決)
※第31~33節が3連戦
1秋田68 富 熊 今鳥相 鹿 +41
2長野49 沼 今 YG岐 岩 +18
3鳥取47 八 相 岐秋福 熊 +8
4相模47 鹿 鳥 八沼秋 今 +4
5岐阜46 藤 讃 鳥八長 G +11
6今治46 福 長 秋岩富 相 +9
7熊本46 C 秋 岩富讃 鳥 +8
8鹿児43 相 岩 福YG 秋 +5
9富山41 秋 C 讃熊今 沼 +9
10藤枝40 岐 G C福八 Y +2
(第28節終了時。順位、クラブ名、勝点、今後の対戦順、得失点差)
秋田は20勝8分で独走Vを決めた。Jリーグ記録の開幕9連勝で勢いに乗り、その後は引き分けが増えて最大2連勝にとどまっているものの依然として負けなし。昨季から続く30戦無敗(21勝9分)もJリーグ新記録となっている。
昨季まで沼津を指揮した吉田謙監督のもと堅守速攻を徹底して隙がない。現時点での総失点がわずか8という守備の強さが驚異的な成績につながった。複数失点したのは第21節のC大阪U-23戦(3○2)のみ。1試合平均では0.29で、このままいけばこちらもJリーグ記録を大幅に更新することになる(年間最少平均失点記録 J1:0.71=08年大分、J2:0.55=00年札幌、J3:0.50=15年町田)。今季はまだ先制点を許しておらず、対戦相手にリードされたのは一時逆転を許したのは上記のC大阪U-23戦だけ。
球際の強さと豊富な運動量で前からプレッシャーをかけ、攻め込まれると守備網を収束させながらゴール前を固める。優勝が決まった翌日の地元紙・秋田魁新報はその戦いぶりを「組織的守備、愚直に貫く」との見出しで伝えている。
守りだけではない。攻撃面でも総得点49はリーグ1位(同2位・熊本46)。ハイプレスからのショートカウンター、FWの中村亮太や齋藤恵太の強靭なフィジカルを押し出すロングカウンター、MF江口直生の高精度のキックやDF鈴木準弥らのロングスローを生かしたセットプレーでゴールを量産している。MF久富賢らが絡んでスピーディーにサイドに展開してDFとGKの間に強いクロスボールを打ち込む一連の流れもシステマチックだ。シンプルだが力強い自分たちの形を確立し、対戦相手が予期していても防げないレベルまで高めている。ボール支配率やパス本数はリーグ最下位(Football LABより)。手数をかけない攻撃が多いぶん、カウンターアタックを食らうリスクも小さい。
地元で20日に放送されたNHKのニュースの中で、吉田監督は「残り6試合も一戦一戦、一瞬一瞬を大切にしてみんなで戦いたい」と話していた。優勝が決まったからといって彼らに緩みが生じるとは考えにくい。それどころか、より自信に満ちた、思い切りの良いプレーが増えるかもしれない。残り6試合はすべて昇格の可能性を残している上位クラブと対戦する。無敗での優勝がなるのか、どこが初黒星を付けるのか。2位争いにも影響が及ぶ今後の焦点だ。
カターレは昇格への望みをつないで今節の秋田戦を迎えた。18日の八戸戦後にそのまま秋田県内に移動。富山からも数名が合流して準備を進めている。20日の練習では秋田の攻守を想定しながら攻撃の狙いどころやクロスに対する守りを確認した。
前回ホームで対戦した7月15日の第4節は0-1で敗れた。3連戦の真ん中のゲームで、カターレは前節から先発を総入れ替えして臨み、相手のちょうど2倍となる14本のシュートを放った。決定機と呼べるビッグチャンスも何度かつくり、互角以上に戦っている。しかし、もう参考外だろう。安達亮監督は「秋田はシーズンを戦いながらゲーム内容も良くなった。今は無敗が必然と思えるほどに強い。守備のリスク管理が徹底されていて、ピンチを招くような変なボールの奪われ方をしない」と話した。
対戦成績は非常に悪く、1勝4分7敗で8得点20失点。J3降格初年の2015年の開幕戦が唯一の白星だ。吉田監督が率いていた沼津にも1勝1分4敗だったように、泥臭くハードワークしてくる堅守速攻型のチームを苦手にしている。現在の秋田の充実ぶりを考えても、カターレが金星を挙げるには攻撃面、守備面とも乗り越えなければいけないポイントがいくつもある。
しかし、カターレにも強みがある。平松宗をはじめとするアタッカー陣の決定力やセットプレーの得点力はリーグ屈指だ。ゴールをこじ開け、凱旋試合で勝利がほしい秋田に焦りを生じさせる展開に持ち込みたい。MF花井聖は「今季の秋田は素晴らしい戦いをした。自分たちが彼らとどれだけ戦えるのか対戦するのが楽しみ。相手の守りは堅いが、ゴール前で高いクオリティーを出せたなら得点は奪える。ただ、繰り返しチャレンジする必要があり、チャンスの回数を増やせるように積極的に仕掛けていきたい」と話した。
◇秋田の戦いを分析する記事がいくつか公開されています
・Football LABの分析コラム
https://www.football-lab.jp/column/entry/750/
・宇都宮徹壱氏のヤフーニュースへの寄稿
https://news.yahoo.co.jp/byline/utsunomiyatetsuichi/20201120-00208734/
◇J3上位の今節以降の対戦(赤字は直接対決)
※第31~33節が3連戦
1秋田68 富 熊 今鳥相 鹿 +41
2長野49 沼 今 YG岐 岩 +18
3鳥取47 八 相 岐秋福 熊 +8
4相模47 鹿 鳥 八沼秋 今 +4
5岐阜46 藤 讃 鳥八長 G +11
6今治46 福 長 秋岩富 相 +9
7熊本46 C 秋 岩富讃 鳥 +8
8鹿児43 相 岩 福YG 秋 +5
9富山41 秋 C 讃熊今 沼 +9
10藤枝40 岐 G C福八 Y +2
(第28節終了時。順位、クラブ名、勝点、今後の対戦順、得失点差)
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