2018シーズン総括■急がば回れ。力蓄え「来季こそ」
- 2018/12/30
- 18:01
Jリーグ10年目、J3で4年目の2018年シーズンは過去最低の11位に終わった。通算12勝5分15敗、総得点41はリーグ7位タイで総失点50は同15位。
開幕から2勝8敗で最下位の17位に出遅れた。この時点で2年目だった浮氣哲郎監督が解任され、安達亮監督が5月9日に就任。その後10勝5分7敗と持ち直したが、昇格争いに加わることはできなかった。昇格した2位の鹿児島との勝点差は16だった。
安達監督のもとチームが着実に成長していく姿が示され、来季への期待感が高まる。終盤は上位勢と互角以上に戦い、最終節では優勝した琉球を終了間際のゴールで下してドラマチックに締めくくった。クラブも指揮官の指導力を評価し、カターレとしては異例ともいえる早さの11月2日に来季続投を発表するなど内外の気運盛り上げに努めている。
今季を語るにはちょうど1年前から振り返らなければならない。昨季は前半戦を2位で折り返したが失速して8位だった。2位・栃木との勝点差は13。終盤まで昇格を争ったとはいえ、まだ可能性が残っていた第28節から4連敗を喫するなどラスト6試合が勝ちなし(1分5敗)。シーズンを通した成長度には疑問符が付き、クラブは12月18日に浮氣監督の続投を発表したものの前途に不安が残る越年だった。
カターレはJ3降格後に監督が毎年変わっており、浮氣監督のもと継続して強化を図るのが得策とクラブは判断した。一方、選手を大きく入れ替えて若返りを進め戦力アップを目指したが、この一連の動きの中で主力選手数人が流出。中でも7年在籍して守りの柱だったDF平出涼が鹿児島に移籍した影響は大きかったと言わざるを得ない。
開幕時の選手26人のうち新加入は14人で過半数を占めた。戦力は充実したかにみえ、監督も選手たちもキャンプを終えて手ごたえを口にしていたが、実戦は甘くはなかった。シンプルで力強い堅守速攻型のチームを目指すも戦術の浸透が遅れ、攻守が機能しないまま負けが続いた。
浮氣体制の10試合は10得点・20失点。試合経験の乏しい選手が多かったのもあだとなって守りがもろく、引き分けにさえ持ち込めない。前年は4月下旬にあった天皇杯予選が5月下旬に移行、3連戦が2度あって約2カ月で10試合を消化する日程も災いした。監督は選手の考えを尊重してボールを持つ時間を増やすなど戦い方を模索したが立ち直るきっかけをつかめなかった。
安達体制になってサッカースタイルも、トレーニングの内容も大きく変わった。ボール保持率を高めて攻撃でゲームの主導権を握る戦いを目指し、それに沿って練習も基本スキルや判断力を上げるためのメニューが増えた。
安達監督はクロスの入れ方や攻撃の狙いどころといった具体的な指示を与えつつ、段階的にチーム力を引き上げた。「最初はボールを動かすだけでなく、どんどん前に付けてシュートの場面を増やせるよう攻撃的に動かすことを意識付けした。次は、より確実に、グループとして狙いをもってペナルティーエリアに入れようとした。今季はまだその段階で足踏みしているが、DFラインや中盤の配球などで相手の守備を外してひとつ前のゾーンからペナルティーエリアに確実に入れられるように取り組んでいる。攻撃は当初に思っていた以上に良くなったが、得点が入って初めて成功と言える。まだ狙い通りに点が取れたシーンは少なく、ここから先が大変だと考えている」
安達体制の22試合は10勝5分7敗、31得点・30失点。就任後の1試合平均得点は1.41で、シーズン平均も1.28。クラブ歴代最高だった16年の1.23を上回った。ほかにもクラブ記録タイの3試合連続複数得点(第11-13節)、10試合連続得点(第25-34節)、個人3試合連続得点(第29-31節・前嶋洋太)がマークされた。
昨季は1勝2分7敗と大きく負け越した上位5チームとの対戦成績も5勝5敗の五分でまとめた。
後半戦16試合でみると7勝4分5敗、21得点・18失点。勝点は25で目標だった30には届かなかった。ゲーム内容でいずれも上回りながら3連敗した第21-23節、残り5分から逆転負けを喫した第31節・沼津戦など勝点を取り損ねた試合も少なくない。来季に向けてさらなるパワーアップが求められる。
安達監督は来季に向け、「攻撃をつくり上げるほうが難しく、守備よりも優先して取り組まなければならない。J1を2連覇した川崎のように内容のあるゲームをして結果を出すのが理想。日本のサッカーは今後もっと技術が上がり、Jリーグのゲーム内容もカテゴリーを問わず高まっていくだろう。より攻撃的に、守備もより組織的になる。それに対応していける土台をつくっていきたい」と話す。
今季は琉球と鹿児島がともに攻撃的なパスサッカーでJ2昇格を決めた。堅守速攻型の秋田や栃木、沼津が上位を占めた昨季とは対照的だ。カターレは1年前、後者に習って現実路線にかじを切ったが道半ばで頓挫し、攻撃サッカーを志向する安達監督にチームを託した。やや遠回りした感はあるが、方向性は改めて定まった。
J3は年々競技レベルが上がって各クラブの実力が拮抗し、混戦に拍車がかかってきた。J2から熊本と讃岐、JFLから八戸が加わり過去最多の18チームで競う来季もその傾向は続くだろう。J2ライセンスを保有する8クラブは讃岐、鳥取、長野、北九州が新監督のもと巻き返しを期す。
開幕は3月9日。カターレは1月15日に新体制・新加入選手の会見があり、同17日からチーム練習がスタートする。
開幕から2勝8敗で最下位の17位に出遅れた。この時点で2年目だった浮氣哲郎監督が解任され、安達亮監督が5月9日に就任。その後10勝5分7敗と持ち直したが、昇格争いに加わることはできなかった。昇格した2位の鹿児島との勝点差は16だった。
安達監督のもとチームが着実に成長していく姿が示され、来季への期待感が高まる。終盤は上位勢と互角以上に戦い、最終節では優勝した琉球を終了間際のゴールで下してドラマチックに締めくくった。クラブも指揮官の指導力を評価し、カターレとしては異例ともいえる早さの11月2日に来季続投を発表するなど内外の気運盛り上げに努めている。
今季を語るにはちょうど1年前から振り返らなければならない。昨季は前半戦を2位で折り返したが失速して8位だった。2位・栃木との勝点差は13。終盤まで昇格を争ったとはいえ、まだ可能性が残っていた第28節から4連敗を喫するなどラスト6試合が勝ちなし(1分5敗)。シーズンを通した成長度には疑問符が付き、クラブは12月18日に浮氣監督の続投を発表したものの前途に不安が残る越年だった。
カターレはJ3降格後に監督が毎年変わっており、浮氣監督のもと継続して強化を図るのが得策とクラブは判断した。一方、選手を大きく入れ替えて若返りを進め戦力アップを目指したが、この一連の動きの中で主力選手数人が流出。中でも7年在籍して守りの柱だったDF平出涼が鹿児島に移籍した影響は大きかったと言わざるを得ない。
開幕時の選手26人のうち新加入は14人で過半数を占めた。戦力は充実したかにみえ、監督も選手たちもキャンプを終えて手ごたえを口にしていたが、実戦は甘くはなかった。シンプルで力強い堅守速攻型のチームを目指すも戦術の浸透が遅れ、攻守が機能しないまま負けが続いた。
浮氣体制の10試合は10得点・20失点。試合経験の乏しい選手が多かったのもあだとなって守りがもろく、引き分けにさえ持ち込めない。前年は4月下旬にあった天皇杯予選が5月下旬に移行、3連戦が2度あって約2カ月で10試合を消化する日程も災いした。監督は選手の考えを尊重してボールを持つ時間を増やすなど戦い方を模索したが立ち直るきっかけをつかめなかった。
安達体制になってサッカースタイルも、トレーニングの内容も大きく変わった。ボール保持率を高めて攻撃でゲームの主導権を握る戦いを目指し、それに沿って練習も基本スキルや判断力を上げるためのメニューが増えた。
安達監督はクロスの入れ方や攻撃の狙いどころといった具体的な指示を与えつつ、段階的にチーム力を引き上げた。「最初はボールを動かすだけでなく、どんどん前に付けてシュートの場面を増やせるよう攻撃的に動かすことを意識付けした。次は、より確実に、グループとして狙いをもってペナルティーエリアに入れようとした。今季はまだその段階で足踏みしているが、DFラインや中盤の配球などで相手の守備を外してひとつ前のゾーンからペナルティーエリアに確実に入れられるように取り組んでいる。攻撃は当初に思っていた以上に良くなったが、得点が入って初めて成功と言える。まだ狙い通りに点が取れたシーンは少なく、ここから先が大変だと考えている」
安達体制の22試合は10勝5分7敗、31得点・30失点。就任後の1試合平均得点は1.41で、シーズン平均も1.28。クラブ歴代最高だった16年の1.23を上回った。ほかにもクラブ記録タイの3試合連続複数得点(第11-13節)、10試合連続得点(第25-34節)、個人3試合連続得点(第29-31節・前嶋洋太)がマークされた。
昨季は1勝2分7敗と大きく負け越した上位5チームとの対戦成績も5勝5敗の五分でまとめた。
後半戦16試合でみると7勝4分5敗、21得点・18失点。勝点は25で目標だった30には届かなかった。ゲーム内容でいずれも上回りながら3連敗した第21-23節、残り5分から逆転負けを喫した第31節・沼津戦など勝点を取り損ねた試合も少なくない。来季に向けてさらなるパワーアップが求められる。
安達監督は来季に向け、「攻撃をつくり上げるほうが難しく、守備よりも優先して取り組まなければならない。J1を2連覇した川崎のように内容のあるゲームをして結果を出すのが理想。日本のサッカーは今後もっと技術が上がり、Jリーグのゲーム内容もカテゴリーを問わず高まっていくだろう。より攻撃的に、守備もより組織的になる。それに対応していける土台をつくっていきたい」と話す。
今季は琉球と鹿児島がともに攻撃的なパスサッカーでJ2昇格を決めた。堅守速攻型の秋田や栃木、沼津が上位を占めた昨季とは対照的だ。カターレは1年前、後者に習って現実路線にかじを切ったが道半ばで頓挫し、攻撃サッカーを志向する安達監督にチームを託した。やや遠回りした感はあるが、方向性は改めて定まった。
J3は年々競技レベルが上がって各クラブの実力が拮抗し、混戦に拍車がかかってきた。J2から熊本と讃岐、JFLから八戸が加わり過去最多の18チームで競う来季もその傾向は続くだろう。J2ライセンスを保有する8クラブは讃岐、鳥取、長野、北九州が新監督のもと巻き返しを期す。
開幕は3月9日。カターレは1月15日に新体制・新加入選手の会見があり、同17日からチーム練習がスタートする。
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