シーズン回顧(中)期待高まるも遠かったゴール
- 2016/12/30
- 23:44
7月3日に前半戦の第15節を終えて通算7勝4分3敗で暫定5位。首位の栃木とは勝点5差。未消化の第5節で勝利を収めるという条件付きではあるが、好位置につけた。
2巡目初戦の第16節・盛岡戦はセットプレーから先制点を許し、一旦は追い付いたが、後半30分を過ぎてからカウンターで2点を失い敗れた。今季2度目の2連敗。第3節以来となる[4-1-4-1]のフォーメーションで臨み、盛岡のパスワークに前からプレッシャーをかけて優位に進めていたが、先制されたうえに好機で決め切れず負けパターンにはまった。猛暑の会津で行われた次節の福島戦も先制点を許し1-1のドローに終わる。昇格争いへの生き残りをかけた正念場を迎えた。
次はホームで4位・鹿児島との上位対決。この一戦を重くみた三浦監督は自ら髪を銀色にして心機一転を演出。シーズンが勝負所に差し掛かっていることを宣言し、「選手が自ら躍動していくチームになっていくべき。ミスを恐れず、リスクを冒して。彼らが『もっとできる』ことは練習で見せてもらっている。もう食事を口までスプーンで運んでもらう必要はない。その時は来ている」と語った。開幕からパスサッカーの土台づくりを優先してきたが、この試合を境に現有戦力の強みを生かす現実的な作戦も試みるようになった。1-1の終了間際に監督が起用したのは高さが武器のDF内田錬平。今季初出場だった。ヘディングで決勝点を挙げる殊勲をたて、チームは息をつないだ。
アウェイでの長野戦はJ3史上初の来場者1万人超えを記録。両者決め手を欠き0-0で終えた。翌節の秋田戦は前半アディショナルタイムにFKから奪われた1点を取り返せず敗れた。直近6試合で区切ると1勝2分3敗。首位・栃木との勝点差が暫定で13まで拡大した。
8月15日の第5節・鳥取戦は勝利が求められるゲームになった。課題は好機をものにする決定力に絞られつつあり、フュニッシュワークへの意識を高めて臨んだ。三浦監督が「(我々の取り組みを示すためにも)得点、勝利という三角形の頂点をつくろう」と選手たちに呼び掛けたのもこの時だ。
今季最多4得点を奪う快勝だった。選手、スタッフ全員で円陣を組んで喜びを分かち合う“儀式”を初めて行った。2位・鹿児島と勝点6差、3位・大分と同3差で、約1カ月の中断期間へ。この夜の勝利には1勝以上の価値が感じられ、昇格への期待が再びふくらんだ。
天皇杯は県代表決定戦を含めて3試合を戦った。富山新庄との代表決定戦、新潟医療福祉大との1回戦とも際どい勝負になったがなんとか勝ち上がり、鹿島に挑み敗れた。期限付き移籍で加入したFW大島康樹の起用をはじめ、鍛えながら新たな可能性を探り、残り10試合に備えた。
再開初戦で藤枝に雪辱して好発進。次節のYS横浜戦では最下位相手に3点を先取されたが大逆転劇を演じて希望の灯を守った。今季3度目の3連勝。「今年はひと味違う。昇格は十分にあり得る」と思ったサポーターは多かっただろう。
勝点3差で追う2位・大分との大一番は押され気味だったが粘って勝点1を加算。上位の鹿児島、大分、長野との直接対決をいずれも1勝1分の勝ち越しで終えた。この節に栃木が18試合ぶりに敗れ、首位との勝点差が7に縮まった。
しかし翌節、のちにU-19アジア選手権で活躍するMF堂安律らを擁するG大阪U-23に0-3の完敗。前節、栃木に黒星をつけたのは彼らであり苦戦は予想されたが、オーバーエイジ枠の3人を最終ラインと中盤に配したメンバー構成は総合力が高く、やはり手ごわかった。開始直後にPKから先制点を許したのが痛恨で、終始相手にゲームをコントロールされた。季節外れの暑さも追う側にとってより厳しい条件で、アンラッキーが重なった。
「前節は動きが硬く、攻守の重心がいつもより後ろになった。原点を大事にして、自分たちのサッカーをやりたい」(MF衛藤裕)と臨んだFC東京U-23戦はアグレッシブさを取り戻したが、3試合連続の無得点に終わり引き分け。この足踏みによって首位・栃木と勝点10差、2位・大分と同5差がつき、残り5試合を全勝したうえで、相手の取りこぼしを待たなければならない状況に追い込まれた。
次節の鳥取戦も0-0で終わるかと思われたが、ラストプレーでMF三上陽輔が決勝点を挙げて4試合ぶりに勝利。昇格の可能性を残して次の第27節・栃木戦に向かった。出だしは悪くなかったが、開始10分にカウンターから失点して難しいゲームになった。元気づいた栃木は選手自身が「今季のベストゲーム」と口にする好パフォーマンスを発揮。0-2で押し切られ、2位・大分との差が残り3試合で8となり昇格が絶望的に。次のホームゲームで2試合を残し可能性がついえた。
しかし、第29節のC大阪U-23戦でも2点のビハインドをひっくり返し意地をみせた。サポーターの気持ちに応えようと最後まで闘う姿勢を示し、シーズンを終えた。
(つづく)
2巡目初戦の第16節・盛岡戦はセットプレーから先制点を許し、一旦は追い付いたが、後半30分を過ぎてからカウンターで2点を失い敗れた。今季2度目の2連敗。第3節以来となる[4-1-4-1]のフォーメーションで臨み、盛岡のパスワークに前からプレッシャーをかけて優位に進めていたが、先制されたうえに好機で決め切れず負けパターンにはまった。猛暑の会津で行われた次節の福島戦も先制点を許し1-1のドローに終わる。昇格争いへの生き残りをかけた正念場を迎えた。
次はホームで4位・鹿児島との上位対決。この一戦を重くみた三浦監督は自ら髪を銀色にして心機一転を演出。シーズンが勝負所に差し掛かっていることを宣言し、「選手が自ら躍動していくチームになっていくべき。ミスを恐れず、リスクを冒して。彼らが『もっとできる』ことは練習で見せてもらっている。もう食事を口までスプーンで運んでもらう必要はない。その時は来ている」と語った。開幕からパスサッカーの土台づくりを優先してきたが、この試合を境に現有戦力の強みを生かす現実的な作戦も試みるようになった。1-1の終了間際に監督が起用したのは高さが武器のDF内田錬平。今季初出場だった。ヘディングで決勝点を挙げる殊勲をたて、チームは息をつないだ。
アウェイでの長野戦はJ3史上初の来場者1万人超えを記録。両者決め手を欠き0-0で終えた。翌節の秋田戦は前半アディショナルタイムにFKから奪われた1点を取り返せず敗れた。直近6試合で区切ると1勝2分3敗。首位・栃木との勝点差が暫定で13まで拡大した。
8月15日の第5節・鳥取戦は勝利が求められるゲームになった。課題は好機をものにする決定力に絞られつつあり、フュニッシュワークへの意識を高めて臨んだ。三浦監督が「(我々の取り組みを示すためにも)得点、勝利という三角形の頂点をつくろう」と選手たちに呼び掛けたのもこの時だ。
今季最多4得点を奪う快勝だった。選手、スタッフ全員で円陣を組んで喜びを分かち合う“儀式”を初めて行った。2位・鹿児島と勝点6差、3位・大分と同3差で、約1カ月の中断期間へ。この夜の勝利には1勝以上の価値が感じられ、昇格への期待が再びふくらんだ。
天皇杯は県代表決定戦を含めて3試合を戦った。富山新庄との代表決定戦、新潟医療福祉大との1回戦とも際どい勝負になったがなんとか勝ち上がり、鹿島に挑み敗れた。期限付き移籍で加入したFW大島康樹の起用をはじめ、鍛えながら新たな可能性を探り、残り10試合に備えた。
再開初戦で藤枝に雪辱して好発進。次節のYS横浜戦では最下位相手に3点を先取されたが大逆転劇を演じて希望の灯を守った。今季3度目の3連勝。「今年はひと味違う。昇格は十分にあり得る」と思ったサポーターは多かっただろう。
勝点3差で追う2位・大分との大一番は押され気味だったが粘って勝点1を加算。上位の鹿児島、大分、長野との直接対決をいずれも1勝1分の勝ち越しで終えた。この節に栃木が18試合ぶりに敗れ、首位との勝点差が7に縮まった。
しかし翌節、のちにU-19アジア選手権で活躍するMF堂安律らを擁するG大阪U-23に0-3の完敗。前節、栃木に黒星をつけたのは彼らであり苦戦は予想されたが、オーバーエイジ枠の3人を最終ラインと中盤に配したメンバー構成は総合力が高く、やはり手ごわかった。開始直後にPKから先制点を許したのが痛恨で、終始相手にゲームをコントロールされた。季節外れの暑さも追う側にとってより厳しい条件で、アンラッキーが重なった。
「前節は動きが硬く、攻守の重心がいつもより後ろになった。原点を大事にして、自分たちのサッカーをやりたい」(MF衛藤裕)と臨んだFC東京U-23戦はアグレッシブさを取り戻したが、3試合連続の無得点に終わり引き分け。この足踏みによって首位・栃木と勝点10差、2位・大分と同5差がつき、残り5試合を全勝したうえで、相手の取りこぼしを待たなければならない状況に追い込まれた。
次節の鳥取戦も0-0で終わるかと思われたが、ラストプレーでMF三上陽輔が決勝点を挙げて4試合ぶりに勝利。昇格の可能性を残して次の第27節・栃木戦に向かった。出だしは悪くなかったが、開始10分にカウンターから失点して難しいゲームになった。元気づいた栃木は選手自身が「今季のベストゲーム」と口にする好パフォーマンスを発揮。0-2で押し切られ、2位・大分との差が残り3試合で8となり昇格が絶望的に。次のホームゲームで2試合を残し可能性がついえた。
しかし、第29節のC大阪U-23戦でも2点のビハインドをひっくり返し意地をみせた。サポーターの気持ちに応えようと最後まで闘う姿勢を示し、シーズンを終えた。
(つづく)
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