第27節 栃木×富山 マッチレポート■不完全燃焼のまま首位に屈す
- 2016/10/31
- 11:00
【第27節 栃木2―0富山 ▽得点者:前半10分・廣瀬(栃)、同40分・宮崎(栃)】
※ダイジェスト映像あり(J公式サイト)
起死回生をかけた決戦に敗れた。ゲーム内容も収穫に乏しく、首位・栃木の強さと自らの力不足を受け入れるしかない。昇格が遠のいた。
試合後、栃木を取材している記者たちが「今季のベストゲームだ」と評価していた。相手の出来がいつも以上に良かったのは確かだろう。全員がハードワークし、最後まで足が止まらなかった。試合終了間際、先発のFW大石治寿が懸命に足を伸ばしてカターレの後方での横パスをカットしたのは象徴的なシーンだった。カターレのパスワークは栃木のプレスを上回るテンポや精度を発揮できなかった。
勝負を分けた要因として、両チームの指揮官は「気持ちの強さ」に言及した。栃木の横山雄次監督は「精神論にはなるが、いわゆる圧力、本当にボールを奪いたいとか、勝ちたいとか、負けたくないといった気持ちが相手を上回って、前でボールを奪う機会がいつもより多くなったのだと思う。それが実は一番大事なこと」と話した。
しかし、カターレに強い気持ちがなかったわけがない。立ち上がりから攻め入ったのはカターレのほうだったし、プレスを外してDF裏を突いたり、ミドルシュートを狙ったりして得点への意欲を示していた。
その矢先、10分の失点が痛恨だった。栃木陣深くのボールロストからカウンターアタックを浴び、きれいにつながれて決められた。MF西澤代志也から受けたMF宮崎泰右が左からドリブルで運んでクロス、MF西谷和希が頭で折り返し、この日はFW起用だったベテランの廣瀬浩二がヘディングでゴールネットを揺らした。栃木がカウンターの精度で春の対戦との違いを示し、カターレは対応した選手それぞれが抵抗し切れなかった。
これにより栃木は明らかに元気づいた。守備ブロックをつくって待ち構えるだけではなく、そこから飛び出してボールホルダーに寄せる動きが活発になり、高い位置で奪ってカウンターから追加点を狙った。ロングボールめがけて走り込み、フィジカルとスピードで1対1の勝負を挑む攻めにカターレの守りは手こずり、町田在籍時にも苦しめられた宮崎のドリブルにも脅かされた。
カターレは栃木の守備ブロックを崩そうと、果敢に中央へのパスを交えて攻める。出来は前節の鳥取戦よりも良くみえたが、アタッキングサードでの連係がうまくいかず決定機がつくれない。ミスからカウンターを浴びる悪い流れの中、40分に宮崎にFKを決められて2点目を失った。FKになだれ込んできて得点を助けたのが7月に山口から加入してセットプレーから3点を挙げているMF島川俊郎だった。夏に補強した宮崎、島川の存在も春の対戦との違いであり、彼らが首位を走る原動力のひとつになっているのだろう。
カターレは後半に立て直し、反撃の口火を切る1点を目指す。12分、後半冒頭から投入されたDF國吉貴博がワンタッチでアーリークロスを入れ、FW中西倫也が詰めたがGKに阻まれる。26分には中盤でのボール奪取から縦に送ってFW萱沼優聖がミドルシュートを放ったが左ポストの内側にわずかに当たって弾かれた。GK飯田健巳の好セーブなどでピンチをしのぎながら前掛かりに攻めたが、無得点に終わった。
カターレが今季、前半15分までに失点したのは今節を含め8試合でリーグワーストになった。栃木が0試合、大分が1試合なのとは対照的だ(2試合が秋田、長野、G大阪U-23)。立ち上がりから自らのスタイルで主導権を握ろうと試み、リスク排除のため序盤にロングボールを多用するような戦い方をしていないことが原因のひとつとして考えられる。このデータをみても目指しているサッカーはまだ成熟には至っていない。残り3試合、取り組んできたパスサッカーの真髄を示すような好パフォーマンスを期待している。
※ダイジェスト映像あり(J公式サイト)
起死回生をかけた決戦に敗れた。ゲーム内容も収穫に乏しく、首位・栃木の強さと自らの力不足を受け入れるしかない。昇格が遠のいた。
試合後、栃木を取材している記者たちが「今季のベストゲームだ」と評価していた。相手の出来がいつも以上に良かったのは確かだろう。全員がハードワークし、最後まで足が止まらなかった。試合終了間際、先発のFW大石治寿が懸命に足を伸ばしてカターレの後方での横パスをカットしたのは象徴的なシーンだった。カターレのパスワークは栃木のプレスを上回るテンポや精度を発揮できなかった。
勝負を分けた要因として、両チームの指揮官は「気持ちの強さ」に言及した。栃木の横山雄次監督は「精神論にはなるが、いわゆる圧力、本当にボールを奪いたいとか、勝ちたいとか、負けたくないといった気持ちが相手を上回って、前でボールを奪う機会がいつもより多くなったのだと思う。それが実は一番大事なこと」と話した。
しかし、カターレに強い気持ちがなかったわけがない。立ち上がりから攻め入ったのはカターレのほうだったし、プレスを外してDF裏を突いたり、ミドルシュートを狙ったりして得点への意欲を示していた。
その矢先、10分の失点が痛恨だった。栃木陣深くのボールロストからカウンターアタックを浴び、きれいにつながれて決められた。MF西澤代志也から受けたMF宮崎泰右が左からドリブルで運んでクロス、MF西谷和希が頭で折り返し、この日はFW起用だったベテランの廣瀬浩二がヘディングでゴールネットを揺らした。栃木がカウンターの精度で春の対戦との違いを示し、カターレは対応した選手それぞれが抵抗し切れなかった。
これにより栃木は明らかに元気づいた。守備ブロックをつくって待ち構えるだけではなく、そこから飛び出してボールホルダーに寄せる動きが活発になり、高い位置で奪ってカウンターから追加点を狙った。ロングボールめがけて走り込み、フィジカルとスピードで1対1の勝負を挑む攻めにカターレの守りは手こずり、町田在籍時にも苦しめられた宮崎のドリブルにも脅かされた。
カターレは栃木の守備ブロックを崩そうと、果敢に中央へのパスを交えて攻める。出来は前節の鳥取戦よりも良くみえたが、アタッキングサードでの連係がうまくいかず決定機がつくれない。ミスからカウンターを浴びる悪い流れの中、40分に宮崎にFKを決められて2点目を失った。FKになだれ込んできて得点を助けたのが7月に山口から加入してセットプレーから3点を挙げているMF島川俊郎だった。夏に補強した宮崎、島川の存在も春の対戦との違いであり、彼らが首位を走る原動力のひとつになっているのだろう。
カターレは後半に立て直し、反撃の口火を切る1点を目指す。12分、後半冒頭から投入されたDF國吉貴博がワンタッチでアーリークロスを入れ、FW中西倫也が詰めたがGKに阻まれる。26分には中盤でのボール奪取から縦に送ってFW萱沼優聖がミドルシュートを放ったが左ポストの内側にわずかに当たって弾かれた。GK飯田健巳の好セーブなどでピンチをしのぎながら前掛かりに攻めたが、無得点に終わった。
カターレが今季、前半15分までに失点したのは今節を含め8試合でリーグワーストになった。栃木が0試合、大分が1試合なのとは対照的だ(2試合が秋田、長野、G大阪U-23)。立ち上がりから自らのスタイルで主導権を握ろうと試み、リスク排除のため序盤にロングボールを多用するような戦い方をしていないことが原因のひとつとして考えられる。このデータをみても目指しているサッカーはまだ成熟には至っていない。残り3試合、取り組んできたパスサッカーの真髄を示すような好パフォーマンスを期待している。
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