第11節 盛岡×富山 マッチレポート■互いに譲らぬ好ファイト
- 2016/05/30
- 08:21
【第11節 盛岡1―1富山 ▽得点者:前半31分・平出(富)、後半34分・土井良(盛)】
攻め合ったエキサイティングなゲームは1-1の引き分けで決着。三浦泰年監督が「戦った彼らにふさわしいポイントの勝点かといえば少し違うかな」と淡々と語り、盛岡の神川明彦監督は明るい表情で悔しがって「一歩もひけの取らないゲームができた」と手ごたえを口にした。しかし、カターレが劣ったわけではない。「進化を目指した新たなトライ」として今季初めて[3-4-3]のフォーメーションで臨み、最終ラインの吉井直人と代健司がどんどん攻め上がる積極的な戦いを展開して相手と同等以上に好機をつくった。
両チームとも守りでもアグレッシブに高い位置からプレスをかけた。開始直後はカターレの圧力がまさって押し気味だったが、10分を過ぎると盛岡も盛り返して一進一退の攻防に。互いに自分たちが目指すパスサッカーを貫き、プレスをかわしてゴールに迫った。
カターレがスペースをつかって大きく揺さぶったのに対し、盛岡も敵と敵のあいだに入り込んだ味方にしっかり縦パスを通して崩しにかかる。守備時は[4-4-2]の盛岡は攻撃時に[4-1-2ー3]のようになり、前方の5人が流動的にポジションを変えながらサイドバックも参加してカターレの守りをかく乱した。
ともに決定機やそれに近いチャンスが何度もあった。筆者の取材メモは通常1試合4ページまでには収まるが、この試合は前後半それぞれ3ページにわたったほどゴール前でのチャンス&ピンチが多かった。前半でいくつか挙げるなら、カターレは前半20分にMF三上陽輔のクロスにMF衛藤裕が飛び込み、同29分にはペナルティーエリア内から衛藤がラストパスを送りFW苔口卓也が詰めたが相手DFが体を張って阻んだ。一方の盛岡は同22分に裏に抜けたMF牛之濵拓がGKとの1対1を制して流し込んだが、ゴールライン寸前で吉井が間に合いスライディングでかき出す。直後の26分にはFW谷村憲一がドリブルで左から仕掛け、クロスに谷口堅三が右足アウトサイドで合わせたが左ポストを直撃した。
先制点は前半31分にカターレのDF平出涼が挙げた。自陣で自らボールを奪うとそのまま駆け上がり、MF國吉貴博のクロスを苔口がヘディングで落としたボールを胸トラップから右足で蹴り込んだ。平出はこれがプロ7年目にして初得点。この日は守りでも盛岡のアタッカー陣を圧倒する集中力をみせた。今季の充実ぶりが得点というかたちでも表れた。
カターレは前半のうちに追加点の好機をつくった。41分にゴール前の混戦に持ち込み、FW萱沼優聖がオーバーヘッドで狙う。44分にもスルーパスで苔口が抜け出しにかかったがシュートを打ち切れなかった。
カターレは後半、[3-5-2]のフォーメーションで守りを厚くし、カウンターから2点目を目指す。同11分、萱沼のスペースへのスルーパスにFW中西倫也が反応、捕球しようとするGKより先にスライディングでボールに触ってゴールしたが、流れでの接触をファウルと判定されて幻と消えた。同17分にも吉井のクロスからシュートがポストに当たる場面があった。
押し込まれる時間は増えたが、全員が体を張って前半ほどの決定的なシーンは与えない。残り15分になり守り切る可能性もふくらみ始めたが同34分に失点した。盛岡はFKからのこぼれ球を左サイドで拾ったMF井上丈がファーサイドへクロスをふわりと浮かせ、身長190㎝のFW土井良太がヘディングで押し込んだ。直前に投入された2人による同点弾だった。井上は富山県出身。取り組んでいるサッカーにやりがいを感じているようで「練習で毎日のように発見がある」と話す。郷里のクラブ相手に存在感を示した。
カターレは勝点3を目指して力をふりしぼった。アディショナルタイムの3分間にもゴール前に相手を押し込めて三上、代が次々とシュートを放つがGKが阻止。最後はMF北井佑季のシュートのこぼれ球をペナルティーエリア内から中西が狙ったがゴール上に外れてタイムアップとなった。
順位やクラブの置かれている状況は異なるが、新監督を迎えて半年のカターレと盛岡がそれぞれの個性的なサッカーを表現して見ごたえのある熱戦を繰り広げた。チームづくりには時間がかかるが、しっかり取り組めば成果は目に見えて表れるものなのだと改めて感じた。盛岡とは次回、7月10日の第16節で対戦する。互いにさらに高めたパスサッカーで今度は富山のファンを楽しませてほしい。
攻め合ったエキサイティングなゲームは1-1の引き分けで決着。三浦泰年監督が「戦った彼らにふさわしいポイントの勝点かといえば少し違うかな」と淡々と語り、盛岡の神川明彦監督は明るい表情で悔しがって「一歩もひけの取らないゲームができた」と手ごたえを口にした。しかし、カターレが劣ったわけではない。「進化を目指した新たなトライ」として今季初めて[3-4-3]のフォーメーションで臨み、最終ラインの吉井直人と代健司がどんどん攻め上がる積極的な戦いを展開して相手と同等以上に好機をつくった。
両チームとも守りでもアグレッシブに高い位置からプレスをかけた。開始直後はカターレの圧力がまさって押し気味だったが、10分を過ぎると盛岡も盛り返して一進一退の攻防に。互いに自分たちが目指すパスサッカーを貫き、プレスをかわしてゴールに迫った。
カターレがスペースをつかって大きく揺さぶったのに対し、盛岡も敵と敵のあいだに入り込んだ味方にしっかり縦パスを通して崩しにかかる。守備時は[4-4-2]の盛岡は攻撃時に[4-1-2ー3]のようになり、前方の5人が流動的にポジションを変えながらサイドバックも参加してカターレの守りをかく乱した。
ともに決定機やそれに近いチャンスが何度もあった。筆者の取材メモは通常1試合4ページまでには収まるが、この試合は前後半それぞれ3ページにわたったほどゴール前でのチャンス&ピンチが多かった。前半でいくつか挙げるなら、カターレは前半20分にMF三上陽輔のクロスにMF衛藤裕が飛び込み、同29分にはペナルティーエリア内から衛藤がラストパスを送りFW苔口卓也が詰めたが相手DFが体を張って阻んだ。一方の盛岡は同22分に裏に抜けたMF牛之濵拓がGKとの1対1を制して流し込んだが、ゴールライン寸前で吉井が間に合いスライディングでかき出す。直後の26分にはFW谷村憲一がドリブルで左から仕掛け、クロスに谷口堅三が右足アウトサイドで合わせたが左ポストを直撃した。
先制点は前半31分にカターレのDF平出涼が挙げた。自陣で自らボールを奪うとそのまま駆け上がり、MF國吉貴博のクロスを苔口がヘディングで落としたボールを胸トラップから右足で蹴り込んだ。平出はこれがプロ7年目にして初得点。この日は守りでも盛岡のアタッカー陣を圧倒する集中力をみせた。今季の充実ぶりが得点というかたちでも表れた。
カターレは前半のうちに追加点の好機をつくった。41分にゴール前の混戦に持ち込み、FW萱沼優聖がオーバーヘッドで狙う。44分にもスルーパスで苔口が抜け出しにかかったがシュートを打ち切れなかった。
カターレは後半、[3-5-2]のフォーメーションで守りを厚くし、カウンターから2点目を目指す。同11分、萱沼のスペースへのスルーパスにFW中西倫也が反応、捕球しようとするGKより先にスライディングでボールに触ってゴールしたが、流れでの接触をファウルと判定されて幻と消えた。同17分にも吉井のクロスからシュートがポストに当たる場面があった。
押し込まれる時間は増えたが、全員が体を張って前半ほどの決定的なシーンは与えない。残り15分になり守り切る可能性もふくらみ始めたが同34分に失点した。盛岡はFKからのこぼれ球を左サイドで拾ったMF井上丈がファーサイドへクロスをふわりと浮かせ、身長190㎝のFW土井良太がヘディングで押し込んだ。直前に投入された2人による同点弾だった。井上は富山県出身。取り組んでいるサッカーにやりがいを感じているようで「練習で毎日のように発見がある」と話す。郷里のクラブ相手に存在感を示した。
カターレは勝点3を目指して力をふりしぼった。アディショナルタイムの3分間にもゴール前に相手を押し込めて三上、代が次々とシュートを放つがGKが阻止。最後はMF北井佑季のシュートのこぼれ球をペナルティーエリア内から中西が狙ったがゴール上に外れてタイムアップとなった。
順位やクラブの置かれている状況は異なるが、新監督を迎えて半年のカターレと盛岡がそれぞれの個性的なサッカーを表現して見ごたえのある熱戦を繰り広げた。チームづくりには時間がかかるが、しっかり取り組めば成果は目に見えて表れるものなのだと改めて感じた。盛岡とは次回、7月10日の第16節で対戦する。互いにさらに高めたパスサッカーで今度は富山のファンを楽しませてほしい。
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