三浦監督が抱負/就任会見詳報
- 2016/01/14
- 12:05
★質疑内容を追加しました
カターレ富山のトップチームの監督に就任した三浦泰年氏の会見が14日午前、県総合運動公園陸上競技場で行われました。内容を詳報します。
●酒井英治社長あいさつ
三浦監督はパスをつなぐ攻撃的なサッカースタイルをもち大変素晴らしい指導者とうかがっている。選手たちの力を最大限に引き出して成長させるとともに、チーム戦術を浸透させて総力をもってカターレ富山をJ2に引き上げていただきたい。復活させていただきたいと思う。大きな指導力を期待している。
●澤入重雄ゼネラルマネジャー
三浦泰年監督を紹介しながらカターレ富山として期待していることをお話しする。わたしと同じ静岡出身で2つ下に当たる。選手としてはテクニシャンの印象がある。ただし、それだけではなく熱いプレー、闘志あふれるプレーを前面に押し出した中盤の選手だった。身上とした勝利にこだわった熱いプレーを選手一人ひとりにも注入してくれるのではないかと期待している。
指導者としても経験を重ねてきておられるが特に北九州での監督経験に注目した。チームの目標をきちっと選手に示し、そのためにどういうサッカーをするか選手に丁寧に落として結果もさることながら内容的にも非常によいサッカーをしていた。突出した選手によって勝つのではなく、一体感をもちコレクティブなチームにしている。2016年のカターレ富山を誰か一人が目立つというのではなく、コレクティブな一体感のあるチームにしてくれるのではと思う。以上の2つを彼に期待している。
現場で選手と向き合う中で苦労もあると思う。そのへんは強化としても全力を尽くしてサポートしていきたい。
監督の言っていた言葉で印象的だったものをひとつ紹介したい。チームの勝利と選手の成長は切っても切り離せない。成長しても勝てなければだめだし、勝ったからといっても選手が成長しないのではいけない。同時にやっていくのが非常に大事だと話していた。その通りだと思う。選手の成長とチームの勝利のための統一感を目指してやってくれたらよい。
●三浦泰年監督
このような席を用意していただき酒井社長をはじめカターレ富山のみなさん、足もとの悪いなか会見に来ていただいたメディアのみなさんに感謝します。紹介に預かりました、今シーズン、カターレ富山の監督として指揮を執ることになりました三浦泰年です。
非常に大きな、大事な時期での仕事だと思っている。今季のカターレ富山のあり方というのが今後の大きなかぎを握ると考えている。じっくりと、しっかりとした強い気持ちで戦っていけたらと思う。まずはビジョンとコンセプト、目標と自分たちが目指すサッカーというものを明確にして、それを選手としっかり共有し合って、そして、強化スタッフ、フロントスタッフと確かめ合いながら、しっかりじっくりと進めていかなければならないなと考えている。
まだ選手と顔を合わせていないので、この場で発信するというのは本意ではないが、富山県民市民が見ていて強い心を感じるようなサッカーができればよいし、勝利と成長というものを同時に一歩一歩実現できたらと思う。選手の成長なくして勝利はなく、勝利によって成長もできる。両面をしっかり視野に入れながらやっていけたらと思う。
同時にこの街、県民市民、富山県、富山市がよりサッカーを通して活性していく、サッカーを通してみなさんの幸せな顔をみたり、サッカーはいいな、という声を多く聞いたりするような、そういう光景が実現できたらよいなと思う。まず一歩目は選手らと前向きに向き合って前進していくことが大事だし、自分自身も強い、大きな心で接していければよい。
一人の力ではなかなか進んでいかないものなので、ここにいるメディアのみなさん、カターレ富山を支えてくれているコーチングスタッフ、フロントのみなさん、大きな力であるサポーター、ファン、県民、市民のみなさんすべての力というものが必要になる。ぜひともに共感しあいながらこのクラブを大きくして勝利をつかめたらと思う。目標は昇格であり、選手が成長して人間的にもスケールアップしていく。この2つをはっきりと伝えてわたしの会見の言葉とします。
◇三浦監督との質疑応答
Q:J2に昇格するには何をやらなければいけないと考えているか。
まずはわたし自身が選手を把握すること。やるのは選手であり、ボールを蹴るのは社長でもわたしでもない。選手に考え方や哲学、心の部分が浸透していくことが大事。18日からトレーニングがスタートするが、富山の大きなストロングポイントである施設、環境を活用して選手にそれを浸透させる。わたしとコーチングスタッフで選手をしっかり把握するのが第一歩になる。
その中でしっかり自覚を持つ。もちろんJ2昇格が目標ではあるが、富山に来て感じるのは北陸、北信越でナンバーワンチームになるポテンシャル、土台といったものはあるということ。未来将来、J1を代表する北陸のクラブとして常時ACLを目指せる、そういうクラブに成長していくための一歩としての基盤基礎づくりがわたしの仕事だと思う。そこに具体的な目標であるJ2復帰がつながっていくと思う。
Q:勝利と選手の成長を目指し、どういった指導をするのか。
戦術、戦略、サッカーというものを選手がもっと知らなければいけない。最初は心の部分、メンタル的な部分かなと思う。例えば、昨季J2から降格してJ3という環境の中で気持ちを高めて熱く戦えた試合がどのぐらいあったのか(は問わなければいけない)。そういうところが大事になる。
Q:攻撃的なパスサッカーとは具体的にはどんなものか。
具体的には選手と共有していくものなのだが、「攻撃的」というのは攻撃のことだけをさすものではない。気持ちの部分でも攻撃的である、守備を攻撃的に行う、もちろん攻撃を攻撃的に行う。すべての面で攻撃的に、アグレッシブに、しっかりした気持ちでサッカーをやる。
ボールをつなぐにしても、絶対に取られてはいけないと思ってやるべき。取られてもよい、と思うならつながないほうがよい。しっかりつなぐのであれば取られたら大問題だと思ってつなげるようにしたい。ただし、サッカーは何本パスをつないでも勝利ではない。なんのためにつなぐかといえばゴールするため。一方で、つないでいれば相手にゴールは奪われない。つなぐというのは武器としてプラスになる。
つなぐことは戦う中での手段ではあるが、それを目標にする競技ではない。ポゼッションというのもビルドアップしてゴールに直結していくつなぎをしなければいけない。その中で攻め方向だけでなくしっかりポゼッションできなければいけない。最終的にはつなげなければ(目指すサッカーへの)スタートは切れないのかもしれない。
彼らとじっくり時間をかけてお互いの価値観を近づけていって、わたしのやりたいサッカーと、選手のやりたいサッカーが同じになっていくように進めていかなければいけない。
シンプルに言えば、流れるようなパスサッカーをやりたい。
Q:ストライカーなど大型補強が必要なのでは。
大きな名前、実績のあるストライカーを必要とはしていない。チームでコレクティブに点を取る。1人に依存し頼るサッカーではなく、チームとして数多くのパターンを生み出して点を取る。その中でカターレにおいて点を取る選手が存在していくようになると思う。それが誰であるかは、選手とともに仕事をしていかなければ見えてこない。今の時点で、名前で判断して誰が点を取るとは言えない。
あくまでも木を見て森を見ていないような話はしたくない。チームがあって選手がいる。組織的にしっかりチームで戦えるようにする。点を取れるという大きな武器を持つ選手がいてもチームで働けなければいけない。献身的でなければいけないし、人を思いやることができなければいけない。
そういう中で点を生み出すサッカーができたらよい。
Q:J2昇格へ勝点の目標を設定するならどれぐらいになるか。
じっくり考える。今季16チーム各30試合の中でどれだけのポイントを達成すれば昇格できるのかは昨年のデータを参考にすればはじき出せる。そこに対して早く重ねていくことが大事になるので、数字もしっかり設定したうえで選手とシーズンを進められたらよい。
Q:就任を決めた理由は
正直いうとタイミングと縁。これが運命なのだと強く感じたので。1日でも早く富山に行こうと思い、(環境などを)確認してよりモチベーションも上がった。自分の中では話をいただいた時に80%以上はやるという意思があった。
Q:運命ですか。
実はタイのチェンマイにいる友人のところに行く約束をしていたのだが、手違いで飛行機がとれなかった。その日に(カターレから)お話しをいただいた。運命というのは自らつくれるものではなく、これが縁というものだなと感じた。そういう決め方でよいのかと思うかもしれないが、わたしの中では強く感じた。実際に来るにあたって新幹線が開通しており、住まいが東京なので、富山が近くなっている。来るべくしてここに来たのかなと感じている。
正直いって今まではそういうものを感じたことがなかった僕なのだが、感じるタイミング、年齢になっているのかな、とも感じている。
Q:これまでの経験をどんなかたちで生かしていくのか。
(カターレの)ポテンシャルという話をしたが、本来J3にいてはいけないクラブだと感じた。ここに来てみないと分からなかった。わたしの経験と哲学をすべてここに還元していけたらと思う。
Q:対戦相手としてのカターレについての印象は。
お話しをいただいてから選手のチェックはDVDで行っている。知っている選手もいる。ただし、現状で満足してはいけない、もっともっと成長できる選手がいるし、もっともっと強い気持ちで本気で戦わなければいけない。
Q:2011年には前年1勝の北九州を一気に8位まで引き上げた。当時の状況はチームを再建しなければならないという点では今のカターレと似ていると捉えている。生かせる手法があるのではないか。
選手たちに実際に会って触れてみなければ分からないが、もう一度自信をもたせる・回復させる、サッカーをやっていることに喜びを感じさせる・より感じさせることが大事だと考える。どう喜びを感じるかは、クラブのため、チームのため、仲間のため。北九州、東京V、チェンマイの監督を務めて経験したことは注入できるのではないかと思う。そこから勝ちにつなげるという作業が非常に大事であって、そこにいかないと勝点もついてこない。自信を取り戻すということはやらなければいけない。彼らよりもサッカーの魅力が自分にあれば、彼らに注入できるのではないかと思う。
Q:昨年はタイのチェンマイを指揮した。
プラスになったのは確かだ。異国で生活をする、監督をする中で異文化にふれる経験をしたのは大きかった。タイ、チェンマイの文化、習慣、風習や、タイ人の資質、性格には違いがあった。富山の文化、考え方にもほかとは違うものがあるかもしれない。富山をしっかり知って、富山に合った、富山らしいサッカーというものをできればと考えている。北九州、東京V、チェンマイでやったことをプラスに変えていこうとは思うが、やっぱり富山は富山の独自な、カターレ富山らしい、県民市民に愛されるそういうサッカーをやれたらよいなと考えている。
Q:サッカーどころの静岡生まれで全盛期の東京Vでもプレーした。富山でサッカー熱を高めるためにはどうすればよいと考えているか。
静岡は少年団のところから始まり、Jリーグクラブが生まれてサッカー文化が移行していった。Jリーグができて変わってきているのが日本サッカーだ。富山第一高校が2年前に全国優勝している。それは大きな財産。(カターレは)プロのサッカーとは、プロ選手とはどんなものかということも主張しながら、地域にカターレ富山を発信できればと思う。
Q:映像などを見て昨季のカターレにどういう印象をもったか。
大変なシーズンだったと思う。監督の考え方を理解して体で表現していくというのはそう簡単なことではない。わたしも選手だったので分かる。監督が変わるタイミングでリーグがJ2からJ3に変わった。どんな状況になっても戦えるのがプロではあるが、そういうことが変化していく状況というのはそう簡単なものではない。もがき苦しんだ、つらいシーズンだったんじゃないかと思う。
戦術とかシステムとかではなく、心の面でより強い心をもって戦わなければならないシーズンだったが、迷いや不安のある状況に対応する力が欠けていたのではないかと思う。しかし、それを無駄にしないようにしてほしい。寒い時には花は咲かないが、地に根を伸ばせという。(苦しかったが)去年は大きな根をつけたとしっかりポジティブに受け止め、今季は上に伸びてしっかり花を咲かせようという気持ちでやってほしい。
去年起きたことを良い教訓にして戦う準備をすべきだと思う。ネガティブな言葉を残したり、否定的になったりせず、前向きに受け止めていくべき。残った選手はそのようにメンタルをコントロールしてほしい。
Q:富山のストロングポイントとは。
(目指すサッカーは)練習から培わなければならない。2面の天然芝、人工芝のドームなどがあるのでハード、ファシリティーをしっかり活用してチーム力を上げていければと思う。環境をしっかりプラスに変えていかなければいけない。ストロングポイントをウイークポイントにしてはいけない。環境に甘えてはいけない。
Q:いつかはJ1入りも可能だと考えるか。
今言うと笑う人が多いだろうが、そこを目指してJ3リーグで常に昇格争いをしながらしかり昇格する。目の前の仕事を達成しなければいけない。その先にそういうポテンシャルを兼ね備えたクラブだと信じる。
Q:富山の印象を聞かせて。
食事、魚がおいしい。今は寒いが住みやすいのではないか。昔は海や山を見て感動することはなかったが、この年齢になるとそういうものに非常に感激を覚える。自然とともに生活し、大好きなサッカーという仕事ができるのは幸せ。この土地を楽しみながら、しっかり結果をだせるように努力する。結果がついてこなければ住みづらくなるのがわたしの世界なので。強化部長が黒部さんだし、黒部ダムに行ってみたい(笑い)。
Q:選手にまず伝えたいことは。
あす選手の顔を見てから、なにを伝えようかなと思っている。
Q:コレクティブに戦う重要性を説いた。どういう信念に基づいているのか。
サッカーは一人ひとりでやるスポーツではない。11人がどう頑張るかが大事。コレクティブ、集団的に、戦術的に、自分の頑張りをチームのために。
いつもパスをする、ではなく、味方がパスを受けられない時などはドリブルが必要。パスサッカーを支えるのはドリブルであり、ミスせずにつなぐには必要。
隣の選手が何を考えているのかしっかり分かる選手、分かる集団にならなければいけない。選手が足りないからコレクティブにやるのではない。大きな選手がいるチームがコレクティブにやればより強くなる。どんな選手がいてもサッカーというのはコレクティブにやるものだと考える。
見ていて気持ちがつかまれるのは、メッシがドリブルで抜いたり、ネイマールがすごいシュートを決めたりする瞬間ではあるが、チームをつくっていくうえで、そういった個の力を生かすにもコレクティブにやることが非常に重要になる。

カターレ富山のトップチームの監督に就任した三浦泰年氏の会見が14日午前、県総合運動公園陸上競技場で行われました。内容を詳報します。
●酒井英治社長あいさつ
三浦監督はパスをつなぐ攻撃的なサッカースタイルをもち大変素晴らしい指導者とうかがっている。選手たちの力を最大限に引き出して成長させるとともに、チーム戦術を浸透させて総力をもってカターレ富山をJ2に引き上げていただきたい。復活させていただきたいと思う。大きな指導力を期待している。
●澤入重雄ゼネラルマネジャー
三浦泰年監督を紹介しながらカターレ富山として期待していることをお話しする。わたしと同じ静岡出身で2つ下に当たる。選手としてはテクニシャンの印象がある。ただし、それだけではなく熱いプレー、闘志あふれるプレーを前面に押し出した中盤の選手だった。身上とした勝利にこだわった熱いプレーを選手一人ひとりにも注入してくれるのではないかと期待している。
指導者としても経験を重ねてきておられるが特に北九州での監督経験に注目した。チームの目標をきちっと選手に示し、そのためにどういうサッカーをするか選手に丁寧に落として結果もさることながら内容的にも非常によいサッカーをしていた。突出した選手によって勝つのではなく、一体感をもちコレクティブなチームにしている。2016年のカターレ富山を誰か一人が目立つというのではなく、コレクティブな一体感のあるチームにしてくれるのではと思う。以上の2つを彼に期待している。
現場で選手と向き合う中で苦労もあると思う。そのへんは強化としても全力を尽くしてサポートしていきたい。
監督の言っていた言葉で印象的だったものをひとつ紹介したい。チームの勝利と選手の成長は切っても切り離せない。成長しても勝てなければだめだし、勝ったからといっても選手が成長しないのではいけない。同時にやっていくのが非常に大事だと話していた。その通りだと思う。選手の成長とチームの勝利のための統一感を目指してやってくれたらよい。
●三浦泰年監督
このような席を用意していただき酒井社長をはじめカターレ富山のみなさん、足もとの悪いなか会見に来ていただいたメディアのみなさんに感謝します。紹介に預かりました、今シーズン、カターレ富山の監督として指揮を執ることになりました三浦泰年です。
非常に大きな、大事な時期での仕事だと思っている。今季のカターレ富山のあり方というのが今後の大きなかぎを握ると考えている。じっくりと、しっかりとした強い気持ちで戦っていけたらと思う。まずはビジョンとコンセプト、目標と自分たちが目指すサッカーというものを明確にして、それを選手としっかり共有し合って、そして、強化スタッフ、フロントスタッフと確かめ合いながら、しっかりじっくりと進めていかなければならないなと考えている。
まだ選手と顔を合わせていないので、この場で発信するというのは本意ではないが、富山県民市民が見ていて強い心を感じるようなサッカーができればよいし、勝利と成長というものを同時に一歩一歩実現できたらと思う。選手の成長なくして勝利はなく、勝利によって成長もできる。両面をしっかり視野に入れながらやっていけたらと思う。
同時にこの街、県民市民、富山県、富山市がよりサッカーを通して活性していく、サッカーを通してみなさんの幸せな顔をみたり、サッカーはいいな、という声を多く聞いたりするような、そういう光景が実現できたらよいなと思う。まず一歩目は選手らと前向きに向き合って前進していくことが大事だし、自分自身も強い、大きな心で接していければよい。
一人の力ではなかなか進んでいかないものなので、ここにいるメディアのみなさん、カターレ富山を支えてくれているコーチングスタッフ、フロントのみなさん、大きな力であるサポーター、ファン、県民、市民のみなさんすべての力というものが必要になる。ぜひともに共感しあいながらこのクラブを大きくして勝利をつかめたらと思う。目標は昇格であり、選手が成長して人間的にもスケールアップしていく。この2つをはっきりと伝えてわたしの会見の言葉とします。
◇三浦監督との質疑応答
Q:J2に昇格するには何をやらなければいけないと考えているか。
まずはわたし自身が選手を把握すること。やるのは選手であり、ボールを蹴るのは社長でもわたしでもない。選手に考え方や哲学、心の部分が浸透していくことが大事。18日からトレーニングがスタートするが、富山の大きなストロングポイントである施設、環境を活用して選手にそれを浸透させる。わたしとコーチングスタッフで選手をしっかり把握するのが第一歩になる。
その中でしっかり自覚を持つ。もちろんJ2昇格が目標ではあるが、富山に来て感じるのは北陸、北信越でナンバーワンチームになるポテンシャル、土台といったものはあるということ。未来将来、J1を代表する北陸のクラブとして常時ACLを目指せる、そういうクラブに成長していくための一歩としての基盤基礎づくりがわたしの仕事だと思う。そこに具体的な目標であるJ2復帰がつながっていくと思う。
Q:勝利と選手の成長を目指し、どういった指導をするのか。
戦術、戦略、サッカーというものを選手がもっと知らなければいけない。最初は心の部分、メンタル的な部分かなと思う。例えば、昨季J2から降格してJ3という環境の中で気持ちを高めて熱く戦えた試合がどのぐらいあったのか(は問わなければいけない)。そういうところが大事になる。
Q:攻撃的なパスサッカーとは具体的にはどんなものか。
具体的には選手と共有していくものなのだが、「攻撃的」というのは攻撃のことだけをさすものではない。気持ちの部分でも攻撃的である、守備を攻撃的に行う、もちろん攻撃を攻撃的に行う。すべての面で攻撃的に、アグレッシブに、しっかりした気持ちでサッカーをやる。
ボールをつなぐにしても、絶対に取られてはいけないと思ってやるべき。取られてもよい、と思うならつながないほうがよい。しっかりつなぐのであれば取られたら大問題だと思ってつなげるようにしたい。ただし、サッカーは何本パスをつないでも勝利ではない。なんのためにつなぐかといえばゴールするため。一方で、つないでいれば相手にゴールは奪われない。つなぐというのは武器としてプラスになる。
つなぐことは戦う中での手段ではあるが、それを目標にする競技ではない。ポゼッションというのもビルドアップしてゴールに直結していくつなぎをしなければいけない。その中で攻め方向だけでなくしっかりポゼッションできなければいけない。最終的にはつなげなければ(目指すサッカーへの)スタートは切れないのかもしれない。
彼らとじっくり時間をかけてお互いの価値観を近づけていって、わたしのやりたいサッカーと、選手のやりたいサッカーが同じになっていくように進めていかなければいけない。
シンプルに言えば、流れるようなパスサッカーをやりたい。
Q:ストライカーなど大型補強が必要なのでは。
大きな名前、実績のあるストライカーを必要とはしていない。チームでコレクティブに点を取る。1人に依存し頼るサッカーではなく、チームとして数多くのパターンを生み出して点を取る。その中でカターレにおいて点を取る選手が存在していくようになると思う。それが誰であるかは、選手とともに仕事をしていかなければ見えてこない。今の時点で、名前で判断して誰が点を取るとは言えない。
あくまでも木を見て森を見ていないような話はしたくない。チームがあって選手がいる。組織的にしっかりチームで戦えるようにする。点を取れるという大きな武器を持つ選手がいてもチームで働けなければいけない。献身的でなければいけないし、人を思いやることができなければいけない。
そういう中で点を生み出すサッカーができたらよい。
Q:J2昇格へ勝点の目標を設定するならどれぐらいになるか。
じっくり考える。今季16チーム各30試合の中でどれだけのポイントを達成すれば昇格できるのかは昨年のデータを参考にすればはじき出せる。そこに対して早く重ねていくことが大事になるので、数字もしっかり設定したうえで選手とシーズンを進められたらよい。
Q:就任を決めた理由は
正直いうとタイミングと縁。これが運命なのだと強く感じたので。1日でも早く富山に行こうと思い、(環境などを)確認してよりモチベーションも上がった。自分の中では話をいただいた時に80%以上はやるという意思があった。
Q:運命ですか。
実はタイのチェンマイにいる友人のところに行く約束をしていたのだが、手違いで飛行機がとれなかった。その日に(カターレから)お話しをいただいた。運命というのは自らつくれるものではなく、これが縁というものだなと感じた。そういう決め方でよいのかと思うかもしれないが、わたしの中では強く感じた。実際に来るにあたって新幹線が開通しており、住まいが東京なので、富山が近くなっている。来るべくしてここに来たのかなと感じている。
正直いって今まではそういうものを感じたことがなかった僕なのだが、感じるタイミング、年齢になっているのかな、とも感じている。
Q:これまでの経験をどんなかたちで生かしていくのか。
(カターレの)ポテンシャルという話をしたが、本来J3にいてはいけないクラブだと感じた。ここに来てみないと分からなかった。わたしの経験と哲学をすべてここに還元していけたらと思う。
Q:対戦相手としてのカターレについての印象は。
お話しをいただいてから選手のチェックはDVDで行っている。知っている選手もいる。ただし、現状で満足してはいけない、もっともっと成長できる選手がいるし、もっともっと強い気持ちで本気で戦わなければいけない。
Q:2011年には前年1勝の北九州を一気に8位まで引き上げた。当時の状況はチームを再建しなければならないという点では今のカターレと似ていると捉えている。生かせる手法があるのではないか。
選手たちに実際に会って触れてみなければ分からないが、もう一度自信をもたせる・回復させる、サッカーをやっていることに喜びを感じさせる・より感じさせることが大事だと考える。どう喜びを感じるかは、クラブのため、チームのため、仲間のため。北九州、東京V、チェンマイの監督を務めて経験したことは注入できるのではないかと思う。そこから勝ちにつなげるという作業が非常に大事であって、そこにいかないと勝点もついてこない。自信を取り戻すということはやらなければいけない。彼らよりもサッカーの魅力が自分にあれば、彼らに注入できるのではないかと思う。
Q:昨年はタイのチェンマイを指揮した。
プラスになったのは確かだ。異国で生活をする、監督をする中で異文化にふれる経験をしたのは大きかった。タイ、チェンマイの文化、習慣、風習や、タイ人の資質、性格には違いがあった。富山の文化、考え方にもほかとは違うものがあるかもしれない。富山をしっかり知って、富山に合った、富山らしいサッカーというものをできればと考えている。北九州、東京V、チェンマイでやったことをプラスに変えていこうとは思うが、やっぱり富山は富山の独自な、カターレ富山らしい、県民市民に愛されるそういうサッカーをやれたらよいなと考えている。
Q:サッカーどころの静岡生まれで全盛期の東京Vでもプレーした。富山でサッカー熱を高めるためにはどうすればよいと考えているか。
静岡は少年団のところから始まり、Jリーグクラブが生まれてサッカー文化が移行していった。Jリーグができて変わってきているのが日本サッカーだ。富山第一高校が2年前に全国優勝している。それは大きな財産。(カターレは)プロのサッカーとは、プロ選手とはどんなものかということも主張しながら、地域にカターレ富山を発信できればと思う。
Q:映像などを見て昨季のカターレにどういう印象をもったか。
大変なシーズンだったと思う。監督の考え方を理解して体で表現していくというのはそう簡単なことではない。わたしも選手だったので分かる。監督が変わるタイミングでリーグがJ2からJ3に変わった。どんな状況になっても戦えるのがプロではあるが、そういうことが変化していく状況というのはそう簡単なものではない。もがき苦しんだ、つらいシーズンだったんじゃないかと思う。
戦術とかシステムとかではなく、心の面でより強い心をもって戦わなければならないシーズンだったが、迷いや不安のある状況に対応する力が欠けていたのではないかと思う。しかし、それを無駄にしないようにしてほしい。寒い時には花は咲かないが、地に根を伸ばせという。(苦しかったが)去年は大きな根をつけたとしっかりポジティブに受け止め、今季は上に伸びてしっかり花を咲かせようという気持ちでやってほしい。
去年起きたことを良い教訓にして戦う準備をすべきだと思う。ネガティブな言葉を残したり、否定的になったりせず、前向きに受け止めていくべき。残った選手はそのようにメンタルをコントロールしてほしい。
Q:富山のストロングポイントとは。
(目指すサッカーは)練習から培わなければならない。2面の天然芝、人工芝のドームなどがあるのでハード、ファシリティーをしっかり活用してチーム力を上げていければと思う。環境をしっかりプラスに変えていかなければいけない。ストロングポイントをウイークポイントにしてはいけない。環境に甘えてはいけない。
Q:いつかはJ1入りも可能だと考えるか。
今言うと笑う人が多いだろうが、そこを目指してJ3リーグで常に昇格争いをしながらしかり昇格する。目の前の仕事を達成しなければいけない。その先にそういうポテンシャルを兼ね備えたクラブだと信じる。
Q:富山の印象を聞かせて。
食事、魚がおいしい。今は寒いが住みやすいのではないか。昔は海や山を見て感動することはなかったが、この年齢になるとそういうものに非常に感激を覚える。自然とともに生活し、大好きなサッカーという仕事ができるのは幸せ。この土地を楽しみながら、しっかり結果をだせるように努力する。結果がついてこなければ住みづらくなるのがわたしの世界なので。強化部長が黒部さんだし、黒部ダムに行ってみたい(笑い)。
Q:選手にまず伝えたいことは。
あす選手の顔を見てから、なにを伝えようかなと思っている。
Q:コレクティブに戦う重要性を説いた。どういう信念に基づいているのか。
サッカーは一人ひとりでやるスポーツではない。11人がどう頑張るかが大事。コレクティブ、集団的に、戦術的に、自分の頑張りをチームのために。
いつもパスをする、ではなく、味方がパスを受けられない時などはドリブルが必要。パスサッカーを支えるのはドリブルであり、ミスせずにつなぐには必要。
隣の選手が何を考えているのかしっかり分かる選手、分かる集団にならなければいけない。選手が足りないからコレクティブにやるのではない。大きな選手がいるチームがコレクティブにやればより強くなる。どんな選手がいてもサッカーというのはコレクティブにやるものだと考える。
見ていて気持ちがつかまれるのは、メッシがドリブルで抜いたり、ネイマールがすごいシュートを決めたりする瞬間ではあるが、チームをつくっていくうえで、そういった個の力を生かすにもコレクティブにやることが非常に重要になる。

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