第28節 山口×富山 マッチレポート■逆転で首位倒す
- 2015/09/14
- 13:27
【第28節 山口1―2富山 ▽得点者:前半1分・島屋(山)、後半4分・苔口(富)、同34分・北井(富)】
山口がキックオフからつないで約20秒で先制点を奪った。MF庄司悦大の浮きパスでMF鳥養祐矢が右サイドに抜けてゴールライン際からマイナス方向のセンタリング、中央で待っていたMF島屋八徳が頭で決めた。
前回の対戦ではカターレが序盤で2点を先取したが、今度は逆の展開。いきなり首位の力を見せつけられた。しかし、結果的にこれが勝負を左右するあやのひとつになった。
「あまりに早い失点だったので、かえって0-0のような感じでプレーできた。みんなもそうだったと思う」とMF北井佑季。山口の選手たちも同じだったかもしれない。前回の対戦では逆転して後半はペースを落とし攻守のバランスを整えたが、今回は先制点を狙うようにそのままの勢いで追加点を目指した。
逆にカターレは澤入重雄監督が「(失点が影響してか)本来はもう少し高い位置から(守備をして)徐々に下げたかったが、下げるのが早すぎた」と振り返ったように引いてしまって押し込まれた。山口の攻守の切り替えが素早く、ボールを奪ってもカウンターアタックに移行できない。防戦一方で相手の多彩な攻撃を浴び続け、ぎりぎりでしのぐ時間が続いた。先に2点目を奪われていたら早々に勝負の行方は決していただろう。
カターレは苦しい時間を耐えながら少しずつ相手の攻めに対応できるようになり、この苦労が終盤の守りで生きた。ボランチのMF三上陽輔とMF大西容平が中心になり徐々にボールも落ち着きだした。三上は相手のプレスを交わすため周囲に「ボールを出してくれてよいから」と声を掛け、サポートを早くしたり、相手を背負ってでもボールを受けたりするように心掛けたという。攻撃でも前線に早めにつけてゴールを目指すという狙っていたかたちが出るようになった。
30分、FW苔口卓也が左サイドで起点になり、大西のスルーパスでMF國吉貴博が裏に抜けかけた。38分にはMF朝日大輔のパスで苔口がGKと1対1になったが間合いが詰まって防がれた。DF吉井直人から苔口への縦パスから展開して好機をつくる場面があり、今回は右サイドハーフで起用された國吉から逆サイドへの大きなサイドチェンジも有効だった。前半の終わりからハーフタイムを挟んで後半の15分ぐらいまではカターレがペースをつかんでおり、後半4分に同点に追い付いた。一方の山口は攻め疲れたかのようにややピッチが鈍った時間帯だった。
同点弾は右サイドを攻め上がったDF内田錬平から受けた國吉が利き足である左で入れたクロスが待ち構えていた苔口の頭にぴたりと合った。國吉を右サイドに配した策が結果につながったかたち。前節とは逆の左サイドで先発起用された北井がこの後、自ら「得意のかたち」というドリブルからの左足シュートで逆転ゴールを叩き込んでおり、左右の配置がずばりとはまった。
後半15分以降は再び山口が押し込み続ける展開となった。彼らが後半、ゴールに際どく迫ったチャンスは3度ほど。同9分、ペナルティーエリア内で裏を突いた島屋にMF小塚和季が浮き球のミドルパスで合わせた場面はGK飯田健巳が阻止。同24分に島屋からラストパスを受けて鳥養が右からフリーで狙ったシュートが上に外れた。アディショナルタイムにエリア内で小塚がこぼれ球を拾った場面はDF平出涼が機敏に反応して体を張りシュートをブロックした。
山口は攻めに攻めて、ゴール前に人数をかけて守るカターレからも好機をつくっていた。エリア内でさらに1本パスをつないで完全に崩そうとするのは彼らのスタイル。だが、今回は最後までカターレの選手たちが集中して守った。圧倒的に押し込む展開になり、カウンターアタックの機会が少なかったのが1点に終わった要因のひとつだろう。
カターレは過去2戦で山口の精度の高いカウンターに苦しめられた。想定以上に押し込まれた感はあるが、結果的に狙い通りに進んだといえるかもしれない。カウンターを招きかねないミスは皆無ではなかったが、ほかの誰かがカバーして助けるシーンが今回は目立った。後半34分、ワンチャンスを生かしてカウンターから北井が値千金のファインゴールを決めて逆転に成功。しっかり守りを固めて逃げ切り、山口を今季全勝の維新公園で倒すという意義深い1勝を手にした。
山口との対戦は今季これが最後。彼らも残り10試合、J2昇格をかけて戦う。
この夜のスタジアムには4,630人もの観衆が集まった。終了間際のCKに声援が高まる様子に一体感を感じた。今季初の連敗を喫したが、サポーターは終了後もずっとレノファコールを送り続けて選手を励ましていた。記者席からコンコースに下りると、ボランティアの女性スタッフが帰路に就く来場者に「応援ありがとうございました」と頭を下げていた。当地は4月以来の訪問だったが、前回と同じように、会場でサポーターや運営スタッフをはじめとする人々の醸し出す明るく前向きな雰囲気に好感をもった。これはトップチームの好成績によるものだけではないだろう。JFLだった昨季やそれ以前の地域リーグ時代から積み重ねてきたものがあるに違いない。トップチームがピッチ上で表現する魅力的なサッカーもまた一朝一夕にできあがったはずがない。選手、スタッフ、サポーターらクラブに関わる人々のこれまでの努力に敬意を表し、今後の幸運を祈りたい。そしてカターレとの再戦を楽しみにしている。
山口がキックオフからつないで約20秒で先制点を奪った。MF庄司悦大の浮きパスでMF鳥養祐矢が右サイドに抜けてゴールライン際からマイナス方向のセンタリング、中央で待っていたMF島屋八徳が頭で決めた。
前回の対戦ではカターレが序盤で2点を先取したが、今度は逆の展開。いきなり首位の力を見せつけられた。しかし、結果的にこれが勝負を左右するあやのひとつになった。
「あまりに早い失点だったので、かえって0-0のような感じでプレーできた。みんなもそうだったと思う」とMF北井佑季。山口の選手たちも同じだったかもしれない。前回の対戦では逆転して後半はペースを落とし攻守のバランスを整えたが、今回は先制点を狙うようにそのままの勢いで追加点を目指した。
逆にカターレは澤入重雄監督が「(失点が影響してか)本来はもう少し高い位置から(守備をして)徐々に下げたかったが、下げるのが早すぎた」と振り返ったように引いてしまって押し込まれた。山口の攻守の切り替えが素早く、ボールを奪ってもカウンターアタックに移行できない。防戦一方で相手の多彩な攻撃を浴び続け、ぎりぎりでしのぐ時間が続いた。先に2点目を奪われていたら早々に勝負の行方は決していただろう。
カターレは苦しい時間を耐えながら少しずつ相手の攻めに対応できるようになり、この苦労が終盤の守りで生きた。ボランチのMF三上陽輔とMF大西容平が中心になり徐々にボールも落ち着きだした。三上は相手のプレスを交わすため周囲に「ボールを出してくれてよいから」と声を掛け、サポートを早くしたり、相手を背負ってでもボールを受けたりするように心掛けたという。攻撃でも前線に早めにつけてゴールを目指すという狙っていたかたちが出るようになった。
30分、FW苔口卓也が左サイドで起点になり、大西のスルーパスでMF國吉貴博が裏に抜けかけた。38分にはMF朝日大輔のパスで苔口がGKと1対1になったが間合いが詰まって防がれた。DF吉井直人から苔口への縦パスから展開して好機をつくる場面があり、今回は右サイドハーフで起用された國吉から逆サイドへの大きなサイドチェンジも有効だった。前半の終わりからハーフタイムを挟んで後半の15分ぐらいまではカターレがペースをつかんでおり、後半4分に同点に追い付いた。一方の山口は攻め疲れたかのようにややピッチが鈍った時間帯だった。
同点弾は右サイドを攻め上がったDF内田錬平から受けた國吉が利き足である左で入れたクロスが待ち構えていた苔口の頭にぴたりと合った。國吉を右サイドに配した策が結果につながったかたち。前節とは逆の左サイドで先発起用された北井がこの後、自ら「得意のかたち」というドリブルからの左足シュートで逆転ゴールを叩き込んでおり、左右の配置がずばりとはまった。
後半15分以降は再び山口が押し込み続ける展開となった。彼らが後半、ゴールに際どく迫ったチャンスは3度ほど。同9分、ペナルティーエリア内で裏を突いた島屋にMF小塚和季が浮き球のミドルパスで合わせた場面はGK飯田健巳が阻止。同24分に島屋からラストパスを受けて鳥養が右からフリーで狙ったシュートが上に外れた。アディショナルタイムにエリア内で小塚がこぼれ球を拾った場面はDF平出涼が機敏に反応して体を張りシュートをブロックした。
山口は攻めに攻めて、ゴール前に人数をかけて守るカターレからも好機をつくっていた。エリア内でさらに1本パスをつないで完全に崩そうとするのは彼らのスタイル。だが、今回は最後までカターレの選手たちが集中して守った。圧倒的に押し込む展開になり、カウンターアタックの機会が少なかったのが1点に終わった要因のひとつだろう。
カターレは過去2戦で山口の精度の高いカウンターに苦しめられた。想定以上に押し込まれた感はあるが、結果的に狙い通りに進んだといえるかもしれない。カウンターを招きかねないミスは皆無ではなかったが、ほかの誰かがカバーして助けるシーンが今回は目立った。後半34分、ワンチャンスを生かしてカウンターから北井が値千金のファインゴールを決めて逆転に成功。しっかり守りを固めて逃げ切り、山口を今季全勝の維新公園で倒すという意義深い1勝を手にした。
山口との対戦は今季これが最後。彼らも残り10試合、J2昇格をかけて戦う。
この夜のスタジアムには4,630人もの観衆が集まった。終了間際のCKに声援が高まる様子に一体感を感じた。今季初の連敗を喫したが、サポーターは終了後もずっとレノファコールを送り続けて選手を励ましていた。記者席からコンコースに下りると、ボランティアの女性スタッフが帰路に就く来場者に「応援ありがとうございました」と頭を下げていた。当地は4月以来の訪問だったが、前回と同じように、会場でサポーターや運営スタッフをはじめとする人々の醸し出す明るく前向きな雰囲気に好感をもった。これはトップチームの好成績によるものだけではないだろう。JFLだった昨季やそれ以前の地域リーグ時代から積み重ねてきたものがあるに違いない。トップチームがピッチ上で表現する魅力的なサッカーもまた一朝一夕にできあがったはずがない。選手、スタッフ、サポーターらクラブに関わる人々のこれまでの努力に敬意を表し、今後の幸運を祈りたい。そしてカターレとの再戦を楽しみにしている。
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