第24節 富山×町田 マッチレポート■苦難に立ち向かい魂をこめた
- 2015/08/03
- 15:05
【第24節 町田1―0富山 ▽得点者:後半90+6分・鈴木崇(町)】
カターレの選手たちは身体と心を削って戦い抜いた。彼らの熱にふれ、アウェイまで足を運んだサポーターも奮い立った。結果は無情だった。しかしそれを含めてこの一戦は場所と時間をともにしたわたしたちの記憶に残る。敗者だからこそより深く。サポーターはスタンドにとどまり、ベンチメンバーを含めた今夜の16人の名前を一人ずつ連呼した。
立ち上がりはホームの町田に勢いがあったが、カターレもすぐに盛り返した。FW中西倫也にボールを送り、こぼれ球を拾って攻めた。クロスなど勝負所でのプレー精度が低く、ゴールに迫るシーンは少なかったが好機をつくりながら進めた。町田もDF裏へのボールを交えながら攻撃の糸口を探っていた。44分に左サイドでDF松本怜大がドリブルで仕掛けながら放った山なりのミドルシュートがゴールを捉えたのが両チームで前半唯一の得点機だったが、GK飯田健巳がかき出した。
前半25分、ボランチで先発したMF三上陽輔が裏に抜けかけたところを相手DFに体を預けられるかたちで倒されて負傷。42分に交代で退いた。29日の前節・琉球戦ではMF椎名伸志が全治8カ月の大けがをした。シュートに遅れて反応したGKと交錯したのが原因。危険な行為だとして岸野靖之監督は試合後にマッチコミッショナーに強く異議を申し立てていた。三上に対するプレーに監督が怒りをあらわにしたのは当然だった。
前半終了間際にカターレはまた違うアクシデントに見舞われた。CKを得てゴール前でポジションどりをしている最中に、MF北井佑季に「乱暴な行為」があったとして一発退場となった。映像を見るに、後ずさりした彼の後頭部が相手選手の顔面に当たり倒れ込んでいるが、北井本人もぶつかって驚いているようだ。記者席にいた町田を長く取材するライターたちも「(町田で3季プレーした)北井は故意であんなことをする選手じゃない」と同情していた。
ジャッジによって勝負が左右されるのもサッカーではあり得ることではある。J2復帰の望みをつなぐには勝つしか道が残されていない試合で起こったことがやるせない。しかしカターレの選手たちは熱く冷静だった。中西を前線に残す[4-4-1]のフォーメーションでブロックをつくって守り、「必ずチャンスはくる。その時に全員でスピードを上げて、リスクを負って点をとりにいこうと話していた」(MF森泰次郎)。
町田にクロスは上げさせても、ゴール前で体を張ってしっかり対応。町田の後半のシュートは6本に過ぎず、見ていて危ないと感じた場面は2、3度だった。後半25分を過ぎると中西が裏へのボールに競り勝ってチャンスをつくるようになる。一方の町田は33分にセンターバックの深津康太を前線に上げてパワープレーでゴールをこじ開けにかかった。
そして37分、10人で耐えてきたカターレに勝機が巡ってきた。ブロックから飛び出した森のプレスが相手のバックパスのミスを誘い、途中出場のFW苔口卓也が敵陣でインターセプト。苔口はそのままドリブルで持ち込み、ペナルティーエリア外に出てきたGKも交わしかけて倒された。「得点機会阻止」でレッドカードが出てもおかしくなかったが判定は警告にとどまった。
それでもカターレの選手たちは異議もそこそこに次のプレーに移り、サポーターもゴールが生まれると信じて一段と声量を上げた。5分のアディショナルタイムに入って、町田のCKからの増田繁人のヘディングシュートを飯田が右に飛んでセーブ。直後にはMF馬渡隼暉が苔口とのワンツーで抜け出してエリア内左からシュートを放つがGKの正面だった。逆に町田がカウンターで左CKを得て、これがラストプレーになると思われたが、ファーサイドの深津がヘディングで折り返したボールがDF平出涼の右腕に当たりPKに。「最後は(平出)涼を助けたかった」と言う飯田も止められず勝負の決着がついた。
終了の笛がなり、主審に詰め寄ろうとする岸野監督を両クラブのスタッフが必死で止めに入った。勝ったほうの選手やサポーターがどう思ったかは分からない。岸野さんだからじゃない。あれが正しい行動だと思った。それほど選手たちは体をかけて戦った。会見で監督は「彼らの魂を見た」と語った。岸野監督が贈る最上級の賛辞だ。多くの困難にもめげずに戦い抜いた誇りにかけて次の試合も選手は全力を尽くすだろう。カターレの2015年はこれからだ。
カターレの選手たちは身体と心を削って戦い抜いた。彼らの熱にふれ、アウェイまで足を運んだサポーターも奮い立った。結果は無情だった。しかしそれを含めてこの一戦は場所と時間をともにしたわたしたちの記憶に残る。敗者だからこそより深く。サポーターはスタンドにとどまり、ベンチメンバーを含めた今夜の16人の名前を一人ずつ連呼した。
立ち上がりはホームの町田に勢いがあったが、カターレもすぐに盛り返した。FW中西倫也にボールを送り、こぼれ球を拾って攻めた。クロスなど勝負所でのプレー精度が低く、ゴールに迫るシーンは少なかったが好機をつくりながら進めた。町田もDF裏へのボールを交えながら攻撃の糸口を探っていた。44分に左サイドでDF松本怜大がドリブルで仕掛けながら放った山なりのミドルシュートがゴールを捉えたのが両チームで前半唯一の得点機だったが、GK飯田健巳がかき出した。
前半25分、ボランチで先発したMF三上陽輔が裏に抜けかけたところを相手DFに体を預けられるかたちで倒されて負傷。42分に交代で退いた。29日の前節・琉球戦ではMF椎名伸志が全治8カ月の大けがをした。シュートに遅れて反応したGKと交錯したのが原因。危険な行為だとして岸野靖之監督は試合後にマッチコミッショナーに強く異議を申し立てていた。三上に対するプレーに監督が怒りをあらわにしたのは当然だった。
前半終了間際にカターレはまた違うアクシデントに見舞われた。CKを得てゴール前でポジションどりをしている最中に、MF北井佑季に「乱暴な行為」があったとして一発退場となった。映像を見るに、後ずさりした彼の後頭部が相手選手の顔面に当たり倒れ込んでいるが、北井本人もぶつかって驚いているようだ。記者席にいた町田を長く取材するライターたちも「(町田で3季プレーした)北井は故意であんなことをする選手じゃない」と同情していた。
ジャッジによって勝負が左右されるのもサッカーではあり得ることではある。J2復帰の望みをつなぐには勝つしか道が残されていない試合で起こったことがやるせない。しかしカターレの選手たちは熱く冷静だった。中西を前線に残す[4-4-1]のフォーメーションでブロックをつくって守り、「必ずチャンスはくる。その時に全員でスピードを上げて、リスクを負って点をとりにいこうと話していた」(MF森泰次郎)。
町田にクロスは上げさせても、ゴール前で体を張ってしっかり対応。町田の後半のシュートは6本に過ぎず、見ていて危ないと感じた場面は2、3度だった。後半25分を過ぎると中西が裏へのボールに競り勝ってチャンスをつくるようになる。一方の町田は33分にセンターバックの深津康太を前線に上げてパワープレーでゴールをこじ開けにかかった。
そして37分、10人で耐えてきたカターレに勝機が巡ってきた。ブロックから飛び出した森のプレスが相手のバックパスのミスを誘い、途中出場のFW苔口卓也が敵陣でインターセプト。苔口はそのままドリブルで持ち込み、ペナルティーエリア外に出てきたGKも交わしかけて倒された。「得点機会阻止」でレッドカードが出てもおかしくなかったが判定は警告にとどまった。
それでもカターレの選手たちは異議もそこそこに次のプレーに移り、サポーターもゴールが生まれると信じて一段と声量を上げた。5分のアディショナルタイムに入って、町田のCKからの増田繁人のヘディングシュートを飯田が右に飛んでセーブ。直後にはMF馬渡隼暉が苔口とのワンツーで抜け出してエリア内左からシュートを放つがGKの正面だった。逆に町田がカウンターで左CKを得て、これがラストプレーになると思われたが、ファーサイドの深津がヘディングで折り返したボールがDF平出涼の右腕に当たりPKに。「最後は(平出)涼を助けたかった」と言う飯田も止められず勝負の決着がついた。
終了の笛がなり、主審に詰め寄ろうとする岸野監督を両クラブのスタッフが必死で止めに入った。勝ったほうの選手やサポーターがどう思ったかは分からない。岸野さんだからじゃない。あれが正しい行動だと思った。それほど選手たちは体をかけて戦った。会見で監督は「彼らの魂を見た」と語った。岸野監督が贈る最上級の賛辞だ。多くの困難にもめげずに戦い抜いた誇りにかけて次の試合も選手は全力を尽くすだろう。カターレの2015年はこれからだ。
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- テーマ:Jリーグ
- ジャンル:スポーツ
- カテゴリ:第24節●0-1町田