2021シーズン回顧(中)■ラストスパート伸びを欠く
- 2022/01/13
- 09:00
8月28日から始まった後半戦の大きなトピックスはブラジル籍のFWマテウス・レイリアの加入だった。守備における勤勉さもチーム戦術にマッチし、戦力としてほぼフル稼働。ドリブルやボールキープで発揮される彼の高い個人能力が新たな武器となった。
後半戦の最初のヤマ場とみられた9月11日の第18節・長野戦を3-0で快勝する。高い守備意識やハードワーク、ボールへの執着心といった石﨑体制の原点を選手が再確認する節目の勝利となった。翌週のアウェイ・八戸戦が相手方の新型コロナウィルス感染により当日中止に。やむを得ないとはいえ、チームが勢いに乗り掛けた矢先の試合中止は昨年8月の八戸戦を想起させるアクシデントだった。
次の第20節・鳥取戦を落としたものの、10月に入って第21節・福島戦、順延となっていた第19節・八戸戦、第23節・讃岐戦で今季初の3連勝を飾る。いずれも前半のうちに先制点を挙げてリードを守り切った。21試合を終えたこの時点で総失点が22となり、監督が目安とした1試合平均1失点に近づいた。当時インタビューしたDF柳下大樹は「マテウス選手の加入も守備が堅くなった要因だと思う。以前は僕ら後ろも攻撃に参加して手をかけながら崩していたが、後半戦は彼が個の力でボールを運んでくれる場面も増えた。おかげで守りにより力を注げるようになった」と話した。
マテウスの加入や長野戦の成功体験、残り試合が少なくなって「内容よりも結果」という意識の高まりなどが相まって攻守のバランスをはじめとする戦い方が前半戦とは変わりつつあった。勝点が伴っていたため、取材している当方もプラスと捉えて執筆していた。だが見誤っていたようだ。最終戦後の会見でMF椎名伸志は「3連勝した時の試合内容が良くなく、自分たちのサッカーを捨てて取った勝点3のような気がしていた。勝ってしまったことで、バランスや求めることにずれが生じ、今治戦の敗戦から立て直すのに時間がかかってしまった。ボールを動かすことを怖がってしまった」と振り返っている。
第24節の今治戦は後半9~14分に連続3失点して敗れた。痛かったのはその後の第25節・YS横浜戦、第26節・岐阜戦の連敗だ。ともに0-0で後半に入り、YS横浜戦は同16分、岐阜戦は同40分に決勝点を奪われた。こちらにも勝機があった互角の内容だっただけに、せめて引き分けに持ち込んで勝点を加算したかった。しかし、YS横浜戦では追う展開でチャンスをつくれず、岐阜戦ではさらに失点を重ねて力不足が露呈してしまった。
その後の4試合はよく踏ん張って熊本戦は0-2からFW大野耀平の2得点で追い付き、ホームでの第28節は首位の宮崎に逆転勝ち。第29節の岩手戦も退場で10人になりながらも果敢にゴールを狙って昇格への執念を示した。
上位3クラブとの対戦成績は2勝2分2敗の五分。昇格してもおかしくないだけの実力はあった。しかし、J2からの降格クラブがなかった今季のJ3にあっても、抜きん出たところを示せたかといえばそうではない。
2015年からJ3のシビアな戦いを取材し、繰り返し思い起こすフレーズがある。「カターレにはチームとしてみても選手個々をみても上位の力がある。しかし対戦相手を圧倒できるかと言えばそうではない」。初年を指揮した岸野靖之監督がよく口にしていた。カターレに所属する選手の能力は年々上がっているが、他クラブも力を付けている。2位以内に入って勝ち抜けるのはやはり容易ではない。これからも、戦力を整え、組織として成熟を図るしかない。
<過去のシーズン回顧一覧>
【2020シーズン回顧】
http://kataller2015.jp/blog-entry-1121.html
【2019シーズン回顧】
http://kataller2015.jp/blog-entry-938.html
【2018シーズン回顧】
http://kataller2015.jp/blog-entry-751.html
【2017シーズン回顧】
http://kataller2015.jp/blog-entry-594.html
【2016シーズン回顧】
http://kataller2015.jp/blog-entry-430.html
【2015シーズン回顧】
http://kataller2015.jp/blog-entry-228.html
後半戦の最初のヤマ場とみられた9月11日の第18節・長野戦を3-0で快勝する。高い守備意識やハードワーク、ボールへの執着心といった石﨑体制の原点を選手が再確認する節目の勝利となった。翌週のアウェイ・八戸戦が相手方の新型コロナウィルス感染により当日中止に。やむを得ないとはいえ、チームが勢いに乗り掛けた矢先の試合中止は昨年8月の八戸戦を想起させるアクシデントだった。
次の第20節・鳥取戦を落としたものの、10月に入って第21節・福島戦、順延となっていた第19節・八戸戦、第23節・讃岐戦で今季初の3連勝を飾る。いずれも前半のうちに先制点を挙げてリードを守り切った。21試合を終えたこの時点で総失点が22となり、監督が目安とした1試合平均1失点に近づいた。当時インタビューしたDF柳下大樹は「マテウス選手の加入も守備が堅くなった要因だと思う。以前は僕ら後ろも攻撃に参加して手をかけながら崩していたが、後半戦は彼が個の力でボールを運んでくれる場面も増えた。おかげで守りにより力を注げるようになった」と話した。
マテウスの加入や長野戦の成功体験、残り試合が少なくなって「内容よりも結果」という意識の高まりなどが相まって攻守のバランスをはじめとする戦い方が前半戦とは変わりつつあった。勝点が伴っていたため、取材している当方もプラスと捉えて執筆していた。だが見誤っていたようだ。最終戦後の会見でMF椎名伸志は「3連勝した時の試合内容が良くなく、自分たちのサッカーを捨てて取った勝点3のような気がしていた。勝ってしまったことで、バランスや求めることにずれが生じ、今治戦の敗戦から立て直すのに時間がかかってしまった。ボールを動かすことを怖がってしまった」と振り返っている。
第24節の今治戦は後半9~14分に連続3失点して敗れた。痛かったのはその後の第25節・YS横浜戦、第26節・岐阜戦の連敗だ。ともに0-0で後半に入り、YS横浜戦は同16分、岐阜戦は同40分に決勝点を奪われた。こちらにも勝機があった互角の内容だっただけに、せめて引き分けに持ち込んで勝点を加算したかった。しかし、YS横浜戦では追う展開でチャンスをつくれず、岐阜戦ではさらに失点を重ねて力不足が露呈してしまった。
その後の4試合はよく踏ん張って熊本戦は0-2からFW大野耀平の2得点で追い付き、ホームでの第28節は首位の宮崎に逆転勝ち。第29節の岩手戦も退場で10人になりながらも果敢にゴールを狙って昇格への執念を示した。
上位3クラブとの対戦成績は2勝2分2敗の五分。昇格してもおかしくないだけの実力はあった。しかし、J2からの降格クラブがなかった今季のJ3にあっても、抜きん出たところを示せたかといえばそうではない。
2015年からJ3のシビアな戦いを取材し、繰り返し思い起こすフレーズがある。「カターレにはチームとしてみても選手個々をみても上位の力がある。しかし対戦相手を圧倒できるかと言えばそうではない」。初年を指揮した岸野靖之監督がよく口にしていた。カターレに所属する選手の能力は年々上がっているが、他クラブも力を付けている。2位以内に入って勝ち抜けるのはやはり容易ではない。これからも、戦力を整え、組織として成熟を図るしかない。
<過去のシーズン回顧一覧>
【2020シーズン回顧】
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【2019シーズン回顧】
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【2018シーズン回顧】
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【2017シーズン回顧】
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【2016シーズン回顧】
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