第29節 岩手×富山 マッチレポート■逆境で力示すも惜敗。昇格消える
- 2021/11/29
- 10:35
【第29節 岩手1―0富山 ▽得点者:後半41分・小野田(岩)】
※ハイライト映像(J公式サイト)
10人での戦いをしいられながら0-0で粘り強く進めて勝機をうかがった。「最後はカターレが勝つ」。そう信じさせてくれた奮闘ぶりだった。
後半41分に失点して敗れ、今節でJ2昇格の可能性が消えた。寒風吹く中、西日を背に並んだ選手にゴール裏を埋めたサポーターから温かな拍手が送られた。
双方が序盤から相手ゴールを脅かした。カターレは自陣に引いて守る岩手に対してボールを回しながら攻略を図り、9分にMF椎名伸志からの裏へのパスでFW高橋駿太が抜け出しにかかる。16分にはFWマテウス・レイリアがトリッキーなボールタッチで右からえぐってクロスを送り、MF佐々木陽次が左に流れながら狙ったがシュートが相手選手に当たって外れた。
前半27分、MF安藤由翔のスルーパスから高橋がうまくターンしてゴールネットを揺らすがオフサイド。ほかにもゴールに迫る場面があったが、シュートやラストパスに体を張る岩手の守りに阻まれた。
岩手もボール奪取からブレンネルらスリートップにつないで得点チャンスをつくった。この日はFW色摩雄貴の動きが目立ち、左サイドからのドリブルやクロスで好機を創出し、前半19分には右からのクロスに合わせて右ポスト直撃のヘディングシュートを放った。カターレはブレンネルによく立ち向かっていたものの、相手の圧力が勝って自陣でFKを与える場面が前半から多かった。
予期しえない退場が発生したのは前半42分。MF末木裕也が同30分に続きこの試合2つ目のイエローカードをくらってしまった。どちらの警告もカウンターを防ごうとして敵陣で相手選手を倒したプレーに出された。プロ2年目の末木は普段から警告が少なく、昨季は29試合で1つ、今季も前節までの24試合で1つしかもらっていない。引いて守りカウンターを狙う岩手に対し、攻め切れずボールを失うケースが多かったとはいえ、1シーズンに何度も起こらないトラブルにこの大一番で見舞われてしまった。
しかし、ここからカターレは1人少ないとは思わせないプレーを展開した。[3-4-2]の布陣でしっかり守りつつ、カウンターアタックだけでなく、ボールをつないで攻撃を組み立てた。後半3分に左コーナー付近でマテウスのボールキープからDF戸根一誓がクロスを送り、ゴール正面で高橋が左足で合わせる。同11分には戸根がドリブルで攻め上がってゴール正面でFKを獲得し、前回の岩手戦で同じ位置から直接FKを決めているDF林堂眞が狙う。同19分には前線から4人の連動したプレスでマテウスがボールを奪ってDFとの1対1からシュートを放った。
一方の岩手は自分たちでボールを持つ不慣れな状況になって攻めあぐねていた。一旦はしぼみかけた勝機をはっきりと視界に捉え、石﨑信弘監督は同30分にFW大野耀平、同36分にFW松岡大智を投入して勝負をかけた。
岩手は秋田豊監督がキャプテンDF牟田雄祐に「宮崎が勝っている。うちは(引き分けではなく)勝たなければいけない」と伝えたそうだ。同じ13時キックオフの宮崎×熊本戦で宮崎がDF代健司の得点で先制したのが後半39分。秋田監督が発破をかけたのもそれぐらいの時間なのだろう。
同41分の決勝点はもぎ取った岩手をほめるべき。カターレの左からのクロスをGK野澤大志ブランドンがキャッチしてからの攻めだ。左サイドへの遠投でカウンターアタックを発動してFWモレラトが右からドリブルでゴール前に運んだ。パスがカターレの選手に当たってゴール前に転がったのはラッキーな一面があるものの、ペナルティーエリア中央にできた混戦にボランチの脇本晃成が飛び込んで右から攻め上がっていたセンターバック小野田将人へパス。小野田はシュートフェイントを入れてブロックを試みたカターレのスライディングを外すと、利き足ではないほうの左でニアを打ち抜いた。カウンターの二次攻撃に守備的なポジションの選手も参加して攻め切った鮮やかなアーリーオフェンスだった。
今季のカターレは残り2試合となった今節の残り数分までJ2復帰への希望を灯し続けた。この日は絶対的に不利な状況でなお勝利を求め、可能性のある戦い方を選び情熱的に遂行。石﨑監督が昇格に不可欠な要素として挙げていた「最後まであきらめずに戦い抜く」という姿勢を体現した。選手たちのプロ意識の高さを改めてみた思いがする。あと1試合も戦い抜き、より多くの人々に、より深く2021年の記憶を刻んでほしい。
【J3上位最終節の対戦相手】
1宮崎53*(13)
2岩手52沼(15)
3熊本51岐(17)
4富山45鹿(6)
5福島44讃(9)
※数字は勝点。括弧内は得失点差
※ハイライト映像(J公式サイト)
10人での戦いをしいられながら0-0で粘り強く進めて勝機をうかがった。「最後はカターレが勝つ」。そう信じさせてくれた奮闘ぶりだった。
後半41分に失点して敗れ、今節でJ2昇格の可能性が消えた。寒風吹く中、西日を背に並んだ選手にゴール裏を埋めたサポーターから温かな拍手が送られた。
双方が序盤から相手ゴールを脅かした。カターレは自陣に引いて守る岩手に対してボールを回しながら攻略を図り、9分にMF椎名伸志からの裏へのパスでFW高橋駿太が抜け出しにかかる。16分にはFWマテウス・レイリアがトリッキーなボールタッチで右からえぐってクロスを送り、MF佐々木陽次が左に流れながら狙ったがシュートが相手選手に当たって外れた。
前半27分、MF安藤由翔のスルーパスから高橋がうまくターンしてゴールネットを揺らすがオフサイド。ほかにもゴールに迫る場面があったが、シュートやラストパスに体を張る岩手の守りに阻まれた。
岩手もボール奪取からブレンネルらスリートップにつないで得点チャンスをつくった。この日はFW色摩雄貴の動きが目立ち、左サイドからのドリブルやクロスで好機を創出し、前半19分には右からのクロスに合わせて右ポスト直撃のヘディングシュートを放った。カターレはブレンネルによく立ち向かっていたものの、相手の圧力が勝って自陣でFKを与える場面が前半から多かった。
予期しえない退場が発生したのは前半42分。MF末木裕也が同30分に続きこの試合2つ目のイエローカードをくらってしまった。どちらの警告もカウンターを防ごうとして敵陣で相手選手を倒したプレーに出された。プロ2年目の末木は普段から警告が少なく、昨季は29試合で1つ、今季も前節までの24試合で1つしかもらっていない。引いて守りカウンターを狙う岩手に対し、攻め切れずボールを失うケースが多かったとはいえ、1シーズンに何度も起こらないトラブルにこの大一番で見舞われてしまった。
しかし、ここからカターレは1人少ないとは思わせないプレーを展開した。[3-4-2]の布陣でしっかり守りつつ、カウンターアタックだけでなく、ボールをつないで攻撃を組み立てた。後半3分に左コーナー付近でマテウスのボールキープからDF戸根一誓がクロスを送り、ゴール正面で高橋が左足で合わせる。同11分には戸根がドリブルで攻め上がってゴール正面でFKを獲得し、前回の岩手戦で同じ位置から直接FKを決めているDF林堂眞が狙う。同19分には前線から4人の連動したプレスでマテウスがボールを奪ってDFとの1対1からシュートを放った。
一方の岩手は自分たちでボールを持つ不慣れな状況になって攻めあぐねていた。一旦はしぼみかけた勝機をはっきりと視界に捉え、石﨑信弘監督は同30分にFW大野耀平、同36分にFW松岡大智を投入して勝負をかけた。
岩手は秋田豊監督がキャプテンDF牟田雄祐に「宮崎が勝っている。うちは(引き分けではなく)勝たなければいけない」と伝えたそうだ。同じ13時キックオフの宮崎×熊本戦で宮崎がDF代健司の得点で先制したのが後半39分。秋田監督が発破をかけたのもそれぐらいの時間なのだろう。
同41分の決勝点はもぎ取った岩手をほめるべき。カターレの左からのクロスをGK野澤大志ブランドンがキャッチしてからの攻めだ。左サイドへの遠投でカウンターアタックを発動してFWモレラトが右からドリブルでゴール前に運んだ。パスがカターレの選手に当たってゴール前に転がったのはラッキーな一面があるものの、ペナルティーエリア中央にできた混戦にボランチの脇本晃成が飛び込んで右から攻め上がっていたセンターバック小野田将人へパス。小野田はシュートフェイントを入れてブロックを試みたカターレのスライディングを外すと、利き足ではないほうの左でニアを打ち抜いた。カウンターの二次攻撃に守備的なポジションの選手も参加して攻め切った鮮やかなアーリーオフェンスだった。
今季のカターレは残り2試合となった今節の残り数分までJ2復帰への希望を灯し続けた。この日は絶対的に不利な状況でなお勝利を求め、可能性のある戦い方を選び情熱的に遂行。石﨑監督が昇格に不可欠な要素として挙げていた「最後まであきらめずに戦い抜く」という姿勢を体現した。選手たちのプロ意識の高さを改めてみた思いがする。あと1試合も戦い抜き、より多くの人々に、より深く2021年の記憶を刻んでほしい。
【J3上位最終節の対戦相手】
1宮崎53*(13)
2岩手52沼(15)
3熊本51岐(17)
4富山45鹿(6)
5福島44讃(9)
※数字は勝点。括弧内は得失点差
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