第6節 富山×岐阜 マッチレポート■激闘の末、要所の一戦を制す
- 2021/04/26
- 12:31
【第6節 富山1―0岐阜 ▽得点者:前半34分・大野(富)】
※ハイライト映像(J公式サイト)
トピックスがいくつも重なった。
カターレが上位対決を制して首位に浮上。石﨑信弘監督はJリーグ通算300勝を達成した。
選手たちは試合後のセレモニーで監督に水を浴びせ、23年・21シーズンがかりの偉業を観客とともに称えた。
左伴繁雄社長が就任して初のゲーム開催でもあった。岐阜から多くの来場があって入場者数は3,145人に達し、2019年11月10日のJ3第30節・長野戦(5,254人)以来1年半ぶりに3,000人を超えた。
岐阜はコロナによる活動停止明けの連戦で4連勝を目指したが今季初黒星。3月に浦和から移籍した元日本代表のMF柏木陽介が初めてベンチ入りして後半11分から出場した。
カターレの草創期を支えた安間貴義監督とMF舩津徹也がそろって県総に登場。奇しくもカターレが岐阜に勝ったのは安間体制下の2013年4月17日のJ2第9節(3○2)以来で6試合ぶり。8年前は長良川の平日ナイトゲームで行われ、舩津が後半アディショナルタイムに決勝点を挙げている。その週末にホームでG大阪戦があったシーズンのことだ。カターレのJ2初年にルーキーとして加入した舩津は34歳となり、DAZN中継でも呼称に「ベテラン」の枕詞が付けられている。
ゴール裏に陣取った岐阜サポーターの多さも挙げておかなければならない。3月28日のホームゲームを最後に試合から遠ざかり、今節を心待ちにしていたのだろう。キャプテンの甲斐健太郎は試合後のオンライン会見を終える際に地元の記者に自ら語りかけ、「ゴール裏に相手側よりも多くのサポーターが来ているのを見てみんなのモチベーションが上がった。『感謝している。次のホームゲームは絶対に勝つ』と伝えてほしい」と述べた。カターレがJ3に降格してしばらく対戦がなかったうちに隣県のライバルクラブはひとまわり成長して多くの人の心をつかんでいるようだ。次回の対戦は11月7日の第26節に組まれている。
中3日の連戦になった岐阜は先発を6人入れ替えた。カターレは前節で負傷交代したGK西部洋平に代わって3年目の齋藤和希が今季初めて先発した。
開始から激しく中盤でぶつかり合い、ともになかなかゴールに近づけない。しかし、流れは徐々にカターレに傾いた。岐阜のロングボール主体の攻撃にしっかり対応し、マイボールにすると最終ラインの3人とアンカーの姫野宥弥、機転を利かせて下りてくる花井と椎名伸志らで相手の前線からのプレスを外しながらリズムをつくっていった。
22分の右CKをDF柳下大樹がクイックで蹴り込み、混戦から勢いよく弾んだボールがゴール脇を通過したのが最初のチャンス。30分には右サイドでもらったFW吉平翼が視野広く左のMF安藤由翔に展開してゴールに迫り、最後はMF音泉翔眞がシュートを放った。
前半の途中から裏を狙う意識を強めていたという。32分に花井のパスからFW大野耀平が左の裏に抜け、安藤のクロスがペナルティーエリア内で岐阜MF本田拓也の右腕に当たってPKを獲得。大野が真ん中に蹴り込んで4試合ぶりに先制点を挙げた。
後半に入ると20分過ぎまではカターレが岐阜を圧倒して次々とチャンスをつくりだした。素早い攻守の切り替えに加え、この日はボールを奪ってからの落ち着き、冷静さが光った。接近戦の中でもひと呼吸置いて味方に的確につなぐシーンが何度もあったのは、周囲の状況が見えていて余裕があったからだろう。「この局面ならあそこに味方がいる」といった予測も判断を助けているとみられる。工夫を凝らした数々のセットプレーを含め、ラストパスの精度次第ではもう2点ほど入っていてもおかしくないだけのチャンスを創出した。強敵との対戦で持てる力が引き出されたと捉えたい。チームの進歩がはっきりと表れていた。
しかし、追加点が奪えずに1点差でゲームが進み、再び緊迫感が高まっていく。シュート0本のまま劣勢が続いた岐阜だったが、21分に左スローインを起点にMF吉濱遼平が入れたクロスにFW川西翔太が飛び込み、あわやの場面をつくる。25分には身長188㎝のDF服部康平を前線に投入し、力ずくでカターレを押し込んでいった。42分には柏木がキッカーを務めて右CKからゴールに迫る。終了直前には左サイド深くのスローインからチャンスをつくり、MF大西遼太郎と吉濱がこの日記録された2本のシュートを次々に放った。
カターレは岐阜の底力に脅かされたが、全員がよく体を張り、カウンターアタックも交えながら無失点でしぎ切った。大野は「全員の力でもぎとった勝利。みんなが体を張って守備をして、西部さんに代わって出場した(齋藤)和希も勇気をもって前に出てくれていて士気が上がった。自分たちにもまだまだなところがあって、ほんの少しの差で勝てた。こういう苦しい試合をものにできてホッとしている」と振り返った。
※ハイライト映像(J公式サイト)
トピックスがいくつも重なった。
カターレが上位対決を制して首位に浮上。石﨑信弘監督はJリーグ通算300勝を達成した。
選手たちは試合後のセレモニーで監督に水を浴びせ、23年・21シーズンがかりの偉業を観客とともに称えた。
左伴繁雄社長が就任して初のゲーム開催でもあった。岐阜から多くの来場があって入場者数は3,145人に達し、2019年11月10日のJ3第30節・長野戦(5,254人)以来1年半ぶりに3,000人を超えた。
岐阜はコロナによる活動停止明けの連戦で4連勝を目指したが今季初黒星。3月に浦和から移籍した元日本代表のMF柏木陽介が初めてベンチ入りして後半11分から出場した。
カターレの草創期を支えた安間貴義監督とMF舩津徹也がそろって県総に登場。奇しくもカターレが岐阜に勝ったのは安間体制下の2013年4月17日のJ2第9節(3○2)以来で6試合ぶり。8年前は長良川の平日ナイトゲームで行われ、舩津が後半アディショナルタイムに決勝点を挙げている。その週末にホームでG大阪戦があったシーズンのことだ。カターレのJ2初年にルーキーとして加入した舩津は34歳となり、DAZN中継でも呼称に「ベテラン」の枕詞が付けられている。
ゴール裏に陣取った岐阜サポーターの多さも挙げておかなければならない。3月28日のホームゲームを最後に試合から遠ざかり、今節を心待ちにしていたのだろう。キャプテンの甲斐健太郎は試合後のオンライン会見を終える際に地元の記者に自ら語りかけ、「ゴール裏に相手側よりも多くのサポーターが来ているのを見てみんなのモチベーションが上がった。『感謝している。次のホームゲームは絶対に勝つ』と伝えてほしい」と述べた。カターレがJ3に降格してしばらく対戦がなかったうちに隣県のライバルクラブはひとまわり成長して多くの人の心をつかんでいるようだ。次回の対戦は11月7日の第26節に組まれている。
中3日の連戦になった岐阜は先発を6人入れ替えた。カターレは前節で負傷交代したGK西部洋平に代わって3年目の齋藤和希が今季初めて先発した。
開始から激しく中盤でぶつかり合い、ともになかなかゴールに近づけない。しかし、流れは徐々にカターレに傾いた。岐阜のロングボール主体の攻撃にしっかり対応し、マイボールにすると最終ラインの3人とアンカーの姫野宥弥、機転を利かせて下りてくる花井と椎名伸志らで相手の前線からのプレスを外しながらリズムをつくっていった。
22分の右CKをDF柳下大樹がクイックで蹴り込み、混戦から勢いよく弾んだボールがゴール脇を通過したのが最初のチャンス。30分には右サイドでもらったFW吉平翼が視野広く左のMF安藤由翔に展開してゴールに迫り、最後はMF音泉翔眞がシュートを放った。
前半の途中から裏を狙う意識を強めていたという。32分に花井のパスからFW大野耀平が左の裏に抜け、安藤のクロスがペナルティーエリア内で岐阜MF本田拓也の右腕に当たってPKを獲得。大野が真ん中に蹴り込んで4試合ぶりに先制点を挙げた。
後半に入ると20分過ぎまではカターレが岐阜を圧倒して次々とチャンスをつくりだした。素早い攻守の切り替えに加え、この日はボールを奪ってからの落ち着き、冷静さが光った。接近戦の中でもひと呼吸置いて味方に的確につなぐシーンが何度もあったのは、周囲の状況が見えていて余裕があったからだろう。「この局面ならあそこに味方がいる」といった予測も判断を助けているとみられる。工夫を凝らした数々のセットプレーを含め、ラストパスの精度次第ではもう2点ほど入っていてもおかしくないだけのチャンスを創出した。強敵との対戦で持てる力が引き出されたと捉えたい。チームの進歩がはっきりと表れていた。
しかし、追加点が奪えずに1点差でゲームが進み、再び緊迫感が高まっていく。シュート0本のまま劣勢が続いた岐阜だったが、21分に左スローインを起点にMF吉濱遼平が入れたクロスにFW川西翔太が飛び込み、あわやの場面をつくる。25分には身長188㎝のDF服部康平を前線に投入し、力ずくでカターレを押し込んでいった。42分には柏木がキッカーを務めて右CKからゴールに迫る。終了直前には左サイド深くのスローインからチャンスをつくり、MF大西遼太郎と吉濱がこの日記録された2本のシュートを次々に放った。
カターレは岐阜の底力に脅かされたが、全員がよく体を張り、カウンターアタックも交えながら無失点でしぎ切った。大野は「全員の力でもぎとった勝利。みんなが体を張って守備をして、西部さんに代わって出場した(齋藤)和希も勇気をもって前に出てくれていて士気が上がった。自分たちにもまだまだなところがあって、ほんの少しの差で勝てた。こういう苦しい試合をものにできてホッとしている」と振り返った。
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